2020年6月6日土曜日

薬剤師さんのための健康食品情報第114号:(2020/5/31~6/6)

平成30年4月1日 第1号発行
>>> バックナンバー 一覧 <<<
スポンサーリンク

【注目】


#1 運動は脳への血流を促進し記憶を改善

#2 加齢に伴う骨量減少と骨折の予防に乳製品は効果なし

#3 高脂肪高炭水化物食をスパイスで健康的に

#4 血圧を下げると認知症の発症リスクが低下

#5 大学・研究機関等公表資料より

#6 機能性表示食品届出公表一覧

行政からの通知、取り締まり等


先週の行政の動き (531日~66)
 
5月29日 食品衛生法第8条に規定する指定成分等の試験法について (厚労省)
(令和2529日付け薬生食基発05294号)
https://www.mhlw.go.jp/content/
000636400.pdf

 
1.コレウス・フォルスコリー試験法
分析対象化合物 フォルスコリン(Forskolin)(管理成分)、イソフォルスコリン(Isoforskolin

2.ドオウレン試験法
分析対象化合物 コプチシン(Coptisine)(管理成分)、サンギナリン(Sanguinarine

3.プエラリア・ミリフィカ試験法
分析対象化合物 ミロエストロール(Miroestrol)(管理成分)
※デオキシミロエストロール(Deoxymiroestrol)は、微量かつ不安定なためミロエストロールのみを管理成分とした。
クワクリン(Kwakhurin)(定性における確認指標成分及び定量における基準物質)

4.ブラックコホシュ試験法
分析対象化合物 アクテイン(Actein)(管理成分)、イソフェルラ酸(Isoferulic acid
 
(KC 6月1日からスタートした食品衛生法の指定成分の分析対象化合物の試験法が公表されました。今後は、指定成分含有食品は、これらの成分の測定が義務付けられます。)
 
 
6月5日 新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請等及び一般消費者等への注意喚起について(3)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/020124/
 
消費者庁では、令和2年4月1日から同年5月22日までの期間、インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうするウイルス予防商品の表示について、景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から緊急監視の追加措置を実施しました。

この結果、インターネット広告においてウイルス予防商品を販売している 35 事業者による 38 商品について、今般、一般消費者が当該商品の効果について著しく優良等であるものと誤認し、新型コロナウイルスの感染予防について誤った対応をしてしまうことを防止する観点から、当該表示を行っている事業者等に対し、改善要請等を行いました。
 
いわゆる健康食品(カプセル、錠剤、粉末等)  【27 事業者 31 商品】
除菌・抗菌スプレー(アミノ酸、光触媒等)  【8事業者7商品】
 
(KC URLを開くと、違反事例が紹介されています。)


健康食品の健康被害情報 国立健康栄養研究所HPより



健康食品の健康被害情報(5/316/6) 国立健康栄養研究所HPより
(外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起は掲載していません)
 
6月1日 指定成分等について
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/
detail4291.html

 
 プエラリア・ミリフィカを含む健康食品の利用による健康被害が多発したことをきっかけに、食品衛生法の一部が改正され、202061日から健康食品に関する新たな制度ができました。
 
■新たな制度とは?
 健康食品の種類は年々増え、それにともなって健康食品の利用よる健康被害も多くなっています。多くの健康被害は軽微なもので、利用者の体調や体質に依存するものが多いのですが、中には、プエラリア・ミリフィカのように素材そのものの安全性に問題がある場合もあります。
 
プエラリア・ミリフィカ
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/
detail673.html

 
コレウス・フォルスコリー
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/
detail4289.html

 
ドオウレン
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/
detail4290.html

 
ブラックコホシュ
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/
detail4288.html

 
 
6月2日 米国FDAFTCが新型コロナウイルス対策に関連した虚偽の宣伝を行う製品に注意喚起
 
■注意喚起および勧告内容
2020526日、米国FDA (U.S. Food and Drug Administration) FTC (Federal Trade Commission) が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を予防または治療するなど虚偽の宣伝を行うエッセンシャルオイル製品に注意喚起。宣伝を行ったAmazonアフィリエイトに広告を中止するよう警告した。
 
■解説
当該製品は、ユーカリ、ペパーミント、ティートリー、シトロネラ、レモン、サイプレス、ローズマリーなどのエッセンシャルオイル (精油) が、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を予防または治療するなどと虚偽に謳って販売されていた。FDAは当該製品の広告収入を得ているAmazonアフィリエイトに対し、広告を中止するよう要求した。
https://www.fda.gov/consumers/
health-fraud-scams/fraudulent-coronavirus
-disease-2019-covid-19-products

 
 
6月5日 米国FDAFTCが新型コロナウイルス対策に関連した虚偽の宣伝を行う製品に注意喚起
 
■注意喚起および勧告内容
202061日、米国FDA (U.S. Food and Drug Administration) FTC (Federal Trade Commission) が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を予防または治療するなど虚偽の宣伝を行う製品「HealthMax Nano-Silver Liquid」、「Silver Biotics Silver Lozenges with Vitamin C」に注意喚起。業社に販売停止を警告した。
 
■解説
当該製品は、ビタミンC、銀などを含む製品で、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を予防または治療するなど虚偽に謳って販売されていた。米国ではFDAの承認なくCOVID-19への有効性を表示して販売することは違法として、業者 (Dr. Sherrill Sellman) に改善するよう警告した。
https://www.fda.gov/consumers/
health-fraud-scams/fraudulent-
coronavirus-disease-2019-covid
-19-products

 
 
新型コロナウイルス 感染予防に効果ある?
https://hfnet.nibiohn.go.jp/notes/
detail.php?no=2142

 
6月3日 26.CBD (カンナビジオール)
現時点においてコロナウイルス類やインフルエンザなどに対する予防効果を検討した報告は見当たりません。
CBD製品の安全性について、厚生労働省や東京都から注意喚起が出ています。ご注意下さい。
 
6月4日 27.タイム
現時点においてコロナウイルス類やインフルエンザなどに対する予防効果を検討した報告は見当たりません。
オイル(精油)の摂取は必ずしも安全とは言えません。ハーブとして少量を料理に加えて楽しみましょう。
 
6月5日 28.ユーカリ
現時点においてコロナウイルス類やインフルエンザなどに対する予防効果を検討した報告は見当たりません。
ユーカリ油の多量摂取は重篤な健康被害をおこす危険があります。すっきりした香りを楽しみましょう。


患者さんとの会話のための話題提供



LINK de DIETより

#1
運動は脳への血流を促進し記憶を改善


有酸素運動によって血流を促進し記憶を改善することができるようだ、という米国テキサス大学からの研究報告。
研究チームは、60歳以上で記憶障害のある30名を対象に長期記憶と脳血流に及ぼす運動の影響を検討した。半数の者が、12カ月間の有酸素運動を行い、残りの者はストレッチを行った。

その結果、有酸素運動を行った者は、ストレッチを行った者に比べて、記憶検査のスコアが平均47%改善されたという。脳画像診断によって、運動群では、記憶機能に重要な脳内部位である前帯状皮質と海馬における血流が増加したことが明らかになった。
https://content.iospress.com/articles/
journal-of-alzheimers-disease/jad190977

#2

加齢に伴う骨量減少と骨折の予防に乳製品は効果なし


加齢に伴う骨量減少と骨折の予防に乳製品は効果なし
  
乳製品には骨に良い栄養素が豊富に含まれるが、閉経期で骨損失が加速しているときには、骨密度の低下を抑える効果はほとんど期待できないようだ。米国ジョージメイソン大学などの報告。

成長期の子供はしばしば牛乳を飲むことを推奨される。というのも、カルシウム、リン、ビタミンD、高品質のたんぱく質など骨の成長を助ける12種類以上の栄養素を含んでいるからだ。だが、閉経期にさしかかった女性では骨損失が加速され骨粗鬆症になり易くなる
 
研究チームは、『全国の女性の健康(SWAN)』研究のデータを解析して、この閉経期の骨損失の加速と骨折リスクは乳製品の摂取によっては防止できないことを発見したという。
今回の研究では、大腿骨と脊椎の骨密度に及ぼす乳製品の摂取の効果が特に調べられた。これは閉経期女性の骨損失と骨折に及ぼす乳製品の影響を検証した数少ない研究のひとつであるという。閉経期の女性は年齢と性別という骨粗鬆症の二大リスクを因子を抱えており、それは女性が自分でどうにかできるものではないので、変更可能なリスク因子に焦点が当てられてきた。
だが、解析の結果では、ベースラインの更年期状態に関係なく、骨密度の変化に有意差は観察されなかったという。また骨折リスクについても有意差は観察されなかった
 
閉経期の移行期にあるこれら米国人女性においては、乳製品の摂取量は、大腿骨および脊椎骨の骨密度の低下にも骨折リスクにも関連していなかった、と研究チームは結論付けた。
https://journals.lww.com/menopausejournal/
Abstract/9000/Dairy_intake_is_not_associated_
with_improvements.97172.aspx


#3

高脂肪高炭水化物食をスパイスで健康的に


種々のスパイスを食事に加えることは、食事をよりおいしくするだけでなく体内炎症を下げる上でも役に立つようだ、という米国ペンシルバニア州立大学からの研究報告。

研究チームは、ランダム化対照研究を実施し、参加者が高脂肪・高炭水化物食に加えて、16gのスパイス・ブレンドを摂取すると、スパイスが少ないあるいはまったくない食事と比べて、炎症マーカーが低くなることを発見した
肥満で少なくとも1つ以上の心血管疾患のリスク因子をもつ40-65歳の男性12人を対象とした。ランダムな順番で、参加者は3日間、飽和脂肪と炭水化物を多く含む3種類の食事を食べた。各々1)スパイスなし、または2)2gのスパイス・ブレンド、3)6gのスパイス・ブレンドを含んでいた。
炎症マーカーを測定するために、食事の前後に1時間ごとに4時間にわたって採血した。
解析の結果、6gのスパイスを含む食事後には、2gのスパイスまたはスパイス無しの食事後に比べて、炎症性サイトカインが減少したことが明らかになった 
https://academic.oup.com/jn/article/
150/6/1600/5811497

#4
血圧を下げると認知症の発症リスクが低下


血圧降下薬の服用によって血圧を下げることで、認知症や認知機能障害の発症リスクを各々7%低下できるかもしれない、というアイルランド・ゴールウェー国立大学からの研究報告が『JAMA』誌に発表された。

研究チームは、14件のランダム化対照臨床試験(対象者96,158名)の系統的レビューとメタ分析を実施した。血圧降下薬の服用によって血圧が低下すると、4年間で認知症または認知機能障害の発症リスクが7%低下し、認知機能低下のリスクも7%低下した。
https://jamanetwork.com/journals/jama/
article-abstract/2766163


先週の健康・健康食品関連情報

先週の健康・健康食品関連情報(531日~66)
 
行政公表資料より
 
唾液を用いたPCR検査の導入 (厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/
newpage_11636.html

 
唾液検体と鼻咽頭ぬぐい液との陽性一致率の結果も公表されています。
 
(KC 唾液であれば、侵襲性も少なく、容易に検体を採取できますね。鼻咽頭の採取は痛いので、やりたくないですね。)


大学・研究機関等公表資料より



ビール苦味成分として知られるホップ苦味酸による認知機能改善効果を確認 (順天堂大)
https://www.juntendo.ac.jp/news/
20200602-01.html

 
健常人を対象にした臨床試験(ランダム化二重盲検比較試験*1)により、ビールに含まれる苦味成分である熟成ホップ由来苦味酸*2(以下、ホップ苦味酸)が認知機能やストレス状態を改善することを確認しました。
 
(KC 暫くすると、機能性表示食品になりますね。熟成ホップ由来苦味酸は、従来は「、体脂肪を減らす機能」が届けられています。)
 
 
Social distancing COVID-19 の封じ込めにもっとも有効 (帝京大)
https://www.teikyo-u.ac.jp/application/
files/6615/9071/2027/
pressrelease20200529.pdf

 
COVID-19 封じ込めの成功は social distancing が主因であり、PCR 検査を広く一般に行
うことの寄与は少ないと考えられます。PCR 検査はもちろん重要・有用な検査であり、特に医師が必要と判断した時には速やかに行える体制の整備は必須ですが、現行の方針、即ち、臨床症候からの疑い例の確定、院内感染の予防と封じ込め、可能であればクラスター同定と封じ込めなどを目的として行うというスタンスで基本的に問題ないと考えられます。
 
室温28℃でも湿度を下げれば疲労軽減に有効であることを実証
快適で健康な空間づくりに向けた共同研究 (理研)
https://www.riken.jp/press/2020/
20200528_2/index.html

 
室温28℃でも湿度を55%以下に保てば快適性が向上し、さらに40%以下であれば疲労も軽減できることが実証されました。
 
 
高吸収クルクミンがクローン病の新規治療薬となりうる可能性が明らかに (浜松医科大)
https://www.hama-med.ac.jp/mt_files/
979eedfc6889f9ed32c3ae4b8c8abba6.pdf

 
軽症から中等症の活動性クローン病患者に対する高吸収クルクミン(セラクルミン®)の内服投与により、活動性クローン病患者の臨床的、内視鏡的重症度を改善させることが他施設共同前向き二重盲検試験にて明らかとなり、セラクルミン®がクローン病の新規治療薬となりうる可能性を明らかにしました。
 
(KC この場合のクルクミンの作用機序というのは、抗酸化で説明がつくのですかね?)
 
 
「便の中にブドウ糖を出す」という糖尿病治療薬の新しい作用を発見(神戸大)
https://www.kobe-u.ac.jp/
research_at_kobe/NEWS/news/
2020_06_03_01.html

 
メトホルミンを飲んだ患者は、血液中のブドウ糖が、大腸から便の中に出ていく(排泄される)ことが解りました。
 
(KC メトホルミンの作用機序の一つがわかったということですね。)


先週のトクホ・機能性表示食品情報

特定保健用食品

63日 1件 許可

区分: 個別評価型病者用食品
商品名 :経口補水液 ジーオーエス(G-OS)
申請者:五洲薬品株式会社
許可を受けた表示内容:経口補水液 ジー オーエスは、電解質とブドウ糖の配合バランスを考慮した経口補水液です。
軽度から中等度の熱中症、脱水状態の方の水分・電解質を補給・維持するのに適した病者用食品です。
許可番号:2020001
 
 
詳細は
https://www.caa.go.jp/notice/assets/
food_labeling_cms206_200603_1.pdf


機能性表示食品届出公表

【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。


今週は、届出の公表がありませんでした。
 
 
機能性表示食品の届出一覧は、情報検索のデータベースで確認できます。https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/


あとがき



今週も最後まで、お付き合いいただき有難うございました。
全国の非常事態宣言は解除されたものの、連日の東京アラートが出され、夜のライトアップは真っ赤となっています。ただ、あのアラートのライトアップが果たして効果があるのでしょうか。ライトアップの写真を撮りに出ている人もおり、逆効果のような気がします。
コロナウイルスの抑えこみも必要ですが、各種営業活動の自粛は、今後さらに多くの倒産や雇用解雇が予想され、こちらの手当てを施さないと、コロナウイルス肺炎による死者数より、より多くの関連自殺者や死者が出そうです。
私は、パチンコ店にはほとんど入ったことがないのでわかりませんが、パチンコ台の前に座っているだけで、そんなに感染リスクが高いようにも思えないのですが、やはり自粛が必要なのですかね。それよりも屋外であっても、大勢のお母さん仲間がマスクはしているものの大声で話したり笑ったりしている方が感染リスクが高いような気がします。
 
なんでもそうですが、リスクとベネフィットを考えて、政府も方針を出してほしいものです。
そういえば、私は千葉県在住ですが、今週、やっとアベノマスクが届きました。一家庭に2枚というのは、どのように使うのですかね? (自宅をほとんど出ない独居世帯でも2枚、5人家族で毎日全員が外に出る家庭にも2枚、なかなか答えを導き出せません。来年の東大の入試問題に出してほしいくらいです。)
 
では、素敵な週末を。 (KC)

平成30年4月1日 第1号発行