2021年6月12日土曜日

薬剤師さんのための健康食品情報第166号

薬剤師のための健康食品情報

平成30年4月1日 第1号発行
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【注目】


#1 ココアはストレスから心臓を保護するかも?

#2 植物ベースの高品質な夕食が心臓病リスクを10%減らす?

#3 サッカーとハンドボールが女性の寿命を延ばす?

#4 カフェインの多量摂取で遺伝的素因を持つ人の緑内障リスクが上昇?

#5 大学・研究機関等公表資料より

#6 機能性表示食品届出公表一覧

行政からの通知、取り締まり等


先週の行政の動き (6月6日~6月12日)

(健康食品ではないですが)

6月11日 株式会社ププレひまわりに対する景品表示法に基づく措置命令

消費者庁は、本日、株式会社ププレひまわりに対し、同社が供給する「ウイルオフ ストラップタイプ」と称する商品に係る表示について、消費者庁及び公正取引委員会(公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所中国支所)の調査の結果を踏まえ、景品表示法に違反する行為(優良誤認に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
() 表示媒体 店舗における店頭POP
() 表示期間 令和2年9月13日から同年12月15日までの間
() 表示内容
「様々な使用シーンに合わせて開発した除菌剤」、「ウイルオフ」、「【ストラップ式】消費者庁公認の首掛け式ウイルス除去剤 お出かけ先でのパーソナル空間のウイルス除去・除菌に。」並びに本件商品を首から掛けている人物の画像と共に、「オフィス」及び「外出時」と表示することにより、あたかも、本件商品を身に着けることで、オフィスや外出時などの様々な使用シーンにおいて、身の回りの空間のウイルスを除去又は除菌できる効果が得られ、当該効果を消費者庁が公認しているかのように示す表示をしていた。

(KC 中国地方のドラッグストアーチェーンが、空間除菌グッズのPOP広告で景品表示法の措置命令)


健康食品の健康被害情報 国立健康栄養研究所HPより



健康食品の健康被害情報(/6~6/12) 国立健康栄養研究所HPより
(外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起、米国FDA/FTCの新型コロナウイルス対策に関連した虚偽宣伝に関する注意喚起は、掲載していません)

6月8日 米国FDAが医薬品成分 (シブトラミン) を含む製品に注意喚起

■注意喚起および勧告内容
202164日、米国FDA (U.S. Food and Drug Administration) が医薬品成分 (シブトラミン) を含む製品「Miss Slim」に注意喚起。米国FDAは当該製品を購入・使用しないように勧告。


■解説
これは、米国FDAによる調査で判明した事例。痩身効果をうたってウェブサイトや小売店で販売されていた当該製品を分析したところ、医薬品成分であるシブトラミンが検出された。現在のところ、当該製品との因果関係が疑われる健康被害については不明。
https://www.fda.gov/drugs/medication-
health-fraud/public-notification-miss-slim
-contains-hidden-drug-ingredient


(素材情報データベースから)

新規収載
6月7日 「カラマンシー、シキキツ、トウキンカン」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/
detail4651.html


健康食品の基礎知識
健康食品をお使いの方へ ~過剰摂取の危険性~ (Ver.210609) が公開されました。

もくじ
■はじめに
■とりすぎ=過剰摂取とは?
■なぜ、健康食品では過剰摂取の注意が必要なの?
■サプリメントの過剰摂取による体調不良の例
■お薬を飲まれている方へ
■過剰摂取しないために
■まとめ


患者さんとの会話のための話題提供



LINK de DIETより


#1

ココアはストレスから心臓を保護するかも?


ココアはストレスから心臓を保護するかも?

フラバノールの摂取を増やすと、精神的ストレスが引き起こす心血管系イベント(脳卒中、心筋梗塞、血栓症など)のリスクが低下するかもしれない、という英国バーミンガム大学からの研究報告。

研究チームは、30名の健康な男性を対象に、二重盲検ランダム化プラセボ対照クロスオーバー介入試験を実施した。参加者は、ランダムな順番で、2種類の高フラバノールココア飲料(150 mg)、または、低フラバノール飲料を、 8分間精神的ストレスタスク負荷90分前に摂取した。

その結果、研究チームは、参加者が高フラバノールココアを飲んだとき血管機能の障害が少ないこと、フラバノールがストレス時の血流を改善することを発見した。

「我々の研究結果は、精神的ストレスの影響を受けやすい個人の血管を保護するための対策に重要な意味を持っているだろう」と研究者はコメントしている。

https://www.mdpi.com/2072-6643/13/4/1103

#2

植物ベースの高品質な夕食が心臓病リスクを10%減らす?


植物ベースの高品質な夕食が心臓病リスクを10%減らす?

夕食に精製された炭水化物や脂肪の多い肉を食べる人は、朝食に同様の食事を食べる人よりも心血管系疾患のリスクが高くなるようだ、という中国ハルビン医科大学からの研究報告。

研究チームは、米国の国民健康・栄養調査(NHANES)から27,911名の米国成人のデータを使用して、連続しない2日間に収集された食事情報を解析し、参加者の心血管系疾患の発症率との関連を調査した。

「食事の質とタイミングは、心臓病リスクを下げる方法を探すときに考えるべき重要な因子である。今回の研究では、夕食の低品質の炭水化物と動物性たんぱく質を等カロリーの高品質の炭水化物と植物性たんぱく質に置き換えることで、心血管系疾患のリスクが約10%低下することが明らかになった」と研究者は述べている。

「特に心臓病のリスクが高い人は、常に健康的な食事を摂ることをお勧めするが、夕食の代わりに朝食に肉や精製した炭水化物を食べるとリスクが低くなることがわかった」と研究者はコメントしている。

https://academic.oup.com/jcem/advance
-article-abstract/doi/10.1210/clinem/
dgab288/6279652?redirectedFrom=fulltext


(KC そうは言っても、朝にステーキ、夜におかゆでは、嫌ですよね。)
#3
サッカーとハンドボールが女性の寿命を延ばす?


サッカーとハンドボールが女性の寿命を延ばす?

サッカーとハンドボールの訓練は、女性の細胞老化を防止する効果があるようだ、という南デンマーク大学からの研究報告。

本横断的研究において、研究チームは、若いエリートサッカー選手 (YFn=2918-30)、若い未訓練の対照者 (YCn=3018-30)、高齢のハンドボール選手(EHn=3560-80) 、高齢で未訓練の対照者 (ECn=3560-80)を対象に検討を行った。

解析の結果、若年のサッカーと高齢のハンドボールのどちらも女性の老化防止に有益な細胞効果と関連していることが示唆されたという。

若いエリートサッカー選手は、対照者と比べて、テロメアの長さが22-24%長く、mtDNA(ミトコンドリアDNA)のコピー数が19-20%多いことが示された。一方高齢のハンドボール選手では、対照者と比べて、mtDNAのコピー数は14%少なかったが、ミトコンドリアの健康度の指標になるPGC-1αの発現が4倍高かった。テロメアの長さに違いはみられなかった

これらの細胞適応は、VO2max および毎週の運動量とも正の相関関係にあり、年齢に関係なく、これらの女性が適度なフィットネスと活動レベルを維持することが重要であることが強調される結果であったという。

https://www.nature.com/articles/
s41598-021-91255-7

#4

カフェインの多量摂取で遺伝的素因を持つ人の緑内障リスクが上昇?


カフェインの多量摂取で遺伝的素因を持つ人の緑内障リスクが上昇?

毎日大量のカフェインを摂取すると、眼圧が高くなる遺伝的素因を持つ人々の緑内障のリスクが 3 倍以上増加する可能性がある、という米国マウントサイナイ医科大学などによる研究報告。

研究チームは、英国バイオバンクのデータを使用した。2006年から2010年にかけて12万人以上(39-73歳)の遺伝子データおよび健康情報を解析した。カフェインの摂取量を調べると共に緑内障の家族歴や視力なども調べ、その3年後に、眼内圧検査と眼球測定を行った。

解析の結果、全体としてカフェイン摂取は眼内圧、緑内障のリスクを高めないことがわかった。けれども、眼内圧上昇の遺伝的素因が強い上位25%の参加者では、カフェイン摂取の増加で眼内圧が上昇し、緑内障の有病率が高くなった。
具体的には、遺伝的素因の強い人のうち、1480mg以上のカフェインを摂取した人は、180mg未満の人に比べて、眼内圧が0.35mmHg高くなったという。
https://www.sciencedirect.com/science/
article/pii/S016164202031157X


先週の健康・健康食品関連情報

先週の健康・健康食品関連情報(6月6日~6月12日)

行政公表資料より

特になし


大学・研究機関等公表資料より



経口摂取したヒアルロン酸が大腸の腸内細菌によって分解、吸収されて皮膚で作用する仕組みを解明 (キューピー)

経口摂取したヒアルロン酸は胃液や小腸の消化酵素では分解されず、大腸の腸内細菌によって分解されることが分かりました。さらに、ヒアルロン酸を分解する腸内細菌を特定することもできました。
また、分解された低分子ヒアルロン酸が吸収されて皮膚に到達することが明らかになったほか、コラーゲン代謝(真皮におけるコラーゲン分解と合成)を活性化することも分かりました。

(KC ヒアルロン酸は、胃や小腸では分解吸収されないのですね。ちょっとびっくり。)


日本人の年齢・性別による大腿四頭筋の筋肉量と質の違いが明らかに (名古屋大)

日本人の中高年の地域住民において、大腿部の筋肉量と質には男女の違いがあり、高齢者ほど量も質も低く、特に男性は高齢になると加速度的に低値を示すようになる。
筋力の発揮には、筋肉の量も質も重要な役割を果たしている。質と量を合わせて評価することで筋肉の状態をより正確に把握することができる。


収縮期血圧120mmHg以上の軽度上昇でも虚血性心疾患・脳卒中発症リスクは上昇する
特に糖尿病患者の虚血性心疾患は顕著に上昇 (新潟大)


血糖正常、糖尿病予備軍、糖尿病いずれの状態であっても、収縮期血圧120mmHg以上、拡張期血圧75mmHg以上では、それぞれ収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧75mmHg未満と比較し、虚血性心疾患、脳卒中発症リスクが、血圧上昇度に応じて上昇していた。
糖尿病では、収縮期血圧が120mmHg未満であっても、血糖正常および予備軍の収縮期血圧が150mmHgと同程度の虚血性心疾患発症がみられた。
糖尿病と高血圧は、虚血性心疾患発症には相加的(加算的)に影響している一方、高血圧が脳卒中発症に及ぼす影響は、いずれの血糖状態においても、約5倍とほぼ一定であった。


高知県立牧野植物園の植物コレクションから新たなメカニズムの抗がん剤として期待される成分の発見 (名古屋大)

・ミャンマー産植物由来抽出液ライブラリーを用いて UPR 抑制作用をスクリーニングした。
・スクリーニングの結果、植物由来成分ペリプロシンが UPR を抑制することを発見した。
・ペリプロシンの UPR 抑制作用は強心配糖体に固有の構造に強く相関することを見出した。
・ペリプロシンは多発性骨髄腫に対し抗腫瘍作用を発揮することを明らかにした。


家庭用ゲーム機のフィットネスゲームで慢性的な腰痛が改善
痛みだけでなく心理的因子の改善効果が判明 (千葉大)


既存の治療方法が効きにくい慢性腰痛症の患者さんへの運動療法として、Nintendo Switch『リングフィットアドベンチャー』を実施することで腰痛や臀部痛の軽減、痛みに対する自己効力感が向上することを明らかにしました。


先週のトクホ・機能性表示食品情報

特定保健用食品

先週のトクホ・機能性表示食品情報(6月6日~6月12日)

特別用途食品

6 8 日 許可1件

番号1

区分アレルゲン除去食品・無乳糖食品

商品名ボンラクトi (アイ)

申請者アサヒグループ食品株式会社

許可を受けた表示内容ボンラクトiはミルクアレルギーや乳糖不耐症およびガラクトース血症の赤ちゃんに、母乳あるいは調製粉乳の代替品として安心してお使いいただけます。

許可番号2021001

詳細は、
https://www.caa.go.jp/notice/assets/
food_labeling_cms206_20210608_04.pdf


機能性表示食品届出公表

【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。

効率的に使用できるよう、外部サイトへのリンクを貼りました。
会社名のリンク::機能性表示食品まとめ一覧
制度開始から届出た商品を確認できます。

商品名のリンク:機能性表示食品リストとエビデンス
エビデンス詳細・製造工場・摂取時の注意等を確認できます。


今週はなし

「機能性表示食品届出情報 簡単動画解説」はこちらから

YouTube チャンネル名

「機能性表示食品情報」


チャンネル登録をしてご覧いただければ幸いです。


あとがき



おはようございます。

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
そろそろ、全国(北海道を除く)で梅雨入りになりそうですね。
今週1週間、関東地方は、梅雨入り前の真夏の暑さになり、昼間は外に出たくありませんという状態でした。
さて、やはりオリンピックは開催するようですね。
もっとも一度も、中止だとは誰も言っていないので当たり前なのでしょうが、せっかくやるのなら、国民全員が楽しめる形で実施して欲しかったと思います。
聖火も今は、どこにあるのですかね。聖火リレーは、沿道の人の声援、喝さいがあって意味があるのであって、トラックや公園の周回コースを厳戒態勢の中は走らせても意味がないような気がします。ただ、トーチをもって記念撮影のためにやっているようにしか見えません。
来月の今ごろは、都内でも交通規制等が始まることが予想され、ますます外出がしにくくなりそうです。
さて、アメリカでアデュカヌマブが承認されたようです。
本当に認知症治療に効果があるのでしょうか。
認知症の発症前に治療すれば、効果ありそうな気もしますが、進行した人にも治療効果が期待出来るのでしょうかね。
この答えは、まだ数年先になりそうですね。

では、素敵な週末を。 (KC)


平成30年4月1日 第1号発行