2022年1月15日土曜日

薬剤師さんのための健康食品情報第196号

薬剤師のための健康食品情報第196号


平成30年4月1日 第1号発行
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行政からの通知、取り締まり等


先週の行政の動き (1月9日~1月15日)
 
特になし


健康食品の健康被害情報 国立健康栄養研究所HPより



健康食品の健康被害情報(/9~1/15) 国立健康栄養研究所HPより
(外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起、米国FDA/FTCの新型コロナウイルス対策に関連した虚偽宣伝に関する注意喚起は、掲載していません)
 
1月14日 米国FDAが医薬品成分 (メロキシカム) を含む製品に注意喚起
 
■注意喚起および勧告内容
202217日、米国FDA (U.S. Food and Drug Administration) が医薬品成分 (メロキシカム) を含む製品「Tawon Liar」に注意喚起。米国FDAは当該製品を購入・使用しないように勧告。
 

■解説
これは、米国FDAによる調査で判明した事例。痛み、リウマチ、不眠に対する効果、免疫改善、活力増強、コレステロール低下をうたって、ウェブサイトや店舗で販売されていた当該製品を分析したところ、医薬品成分であるメロキシカム (非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)) が検出された。現在のところ、当該製品との因果関係が疑われる健康被害については不明。
https://www.fda.gov/drugs/medication-
health-fraud/public-notification-tawon-
liar-contains-hidden-drug-ingredient


患者さんとの会話のための話題提供



LINK de DIETより



ハーブに含まれる抗がん化合物のレシピを発見


ハーブに含まれる抗がん化合物のレシピを発見
  
タイムとオレガノは腫瘍の発生を抑制する抗がん化合物を含むが、トマトソースにさらに加えるだけでは大きな利益を得るのに十分ではなく、これらの植物の力を解き放つ鍵は、生成される化合物の量を増幅するか、医薬品開発のために化合物を合成することであるという。米国パデュー大学の研究チームは、タイムとオレガノなどシソ科におけるチモール、カルバクロールおよびチモヒドロキノンの生合成は、チトクロームP450および短鎖デヒドロゲナーゼを介することを明らかにした。
研究者らは、必要な成分を作り出す生合成経路をマッピングすることにより、医薬品として化合物を使用するための最初のステップを達成したという。
 
「これらの植物は重要な化合物を含むが、量は非常に低く、抽出では十分ではないでしょう」とプロジェクトを共同で主導しているナタリア・ドゥダレバ名誉教授は述べている。「これらの化合物がどのように形成されるかを理解することにより、私たちはそれらの含有量が高い植物を設計すること、または医療用の微生物で化合物を合成することへの道が開かれます。」
 
チモール、カルバクロール、およびチモヒドロキノンは、タイム、オレガノ、およびシソ科の他の植物のフレーバー化合物である。それらはまた、抗菌性、抗炎症性、抗酸化性、および人間の健康に有益な他の特性を持っている。チモヒドロキノンは抗がん特性を持っていることが示されており、特に興味深いと、パデュー大学植物生物学センターの所長でもあるドゥダレバ教授は述べている。
 
研究チームは、ドイツのマーティンルーサー大学ハレ-ヴィッテンベルクとミシガン州立大学の科学者と協力して、チモールヒドロキノンへの生合成経路全体を明らかにした。これには、その前駆体であるチモールとカルバクロール、およびその過程での短命の中間化合物の形成が含まれる。
この研究結果は、フェノールまたは芳香族モノテルペンと呼ばれるこのクラスの化合物の形成に関する以前の見解を変えるもので、他の植物ではわずかな生合成経路しか発見されていないと彼女は述べている。
https://www.pnas.org/content/118/52/
e2110092118

高用量ビタミンDを5年摂取しても、心疾患やがんに影響なし?


高用量ビタミンD5年摂取しても、心疾患やがんに影響なし?
  
推奨されるよりもはるかに高い用量のビタミンD5年間摂取しても、高齢男女の総死亡率や心血管疾患またはがんの発生率に影響を与えないようだ、という東フィンランド大学からの研究報告。
 
疫学調査において、体内ビタミンDの低レベルは、多くの慢性疾患や早死のリスクの増加に関連している。けれども、そのような観察研究から、ビタミンDサプリメントの使用が病気や死のリスクを減らすことができるかどうかを直接推測することはできないという。
2010年代初頭には、いくつかの国で大規模なビタミンD試験が開始され、推奨用量よりも高いビタミンDが病気を発症するリスクに及ぼす影響が調査された。2012年から2018年に東フィンランド大学で実施されたフィンランドのビタミンD試験(FIND)もそのひとつである。
FIND試験では、2,495人の参加者(男性60歳以上、女性65歳以上)が、プラセボ群またはビタミンD340または80マイクログラム(1600または3200 IU)群のいずれかにランダムに振り分けられ、5年にわたって継続した。すべての参加者は、試験の開始時に心血管疾患とがんがなく、1日あたり最大20マイクログラム(800 IU)(試験時のこの年齢層の推奨摂取量)の独自のビタミンDサプリメントを使用することが許可された。
 
5年間の試験中に、119人の参加者が心血管疾患を発症し、129人ががんと診断され、19人が死亡した。グループ間のイベント数に統計的に有意な差はなかった。グループ間で副作用の違いが観察されなかったため、この用量のビタミンD3の摂取が安全であることが証明された。
 
FIND試験の結果は、長年推奨されているよりも高用量のビタミンDを摂取しても、体のビタミンDの状態がすでに十分であれば、心血管疾患やがんを発症するリスクに有意な影響を及ぼさないことを示した、他の同様の研究結果とよく一致するものだという。
著者らは、ビタミンDが不足しがちな場合は、ビタミンDのサプリメントの摂取を勧めるが、ただし本研究から心血管疾患やがんの予防のために大量のビタミンDを摂取ることは支持されない、とコメントしている。
https://academic.oup.com/ajcn/advance-
article/doi/10.1093/ajcn/nqab419/6496028

 
(KC
十分量が足りている人は、摂っても意味がないということでしょうか。一方で、過剰摂取の心配も少ないということでしょうか。)


先週の健康・健康食品関連情報

先週の健康・健康食品関連情報(1月9日~1月15日)
 
行政公表資料より
 
自然に健康になれる持続可能な食環境づくり (厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite
/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/
syokuji_kijyun_00005.html

 
厚生労働省のホームページに、「健康的で持続可能な食環境づくり」の特設サイトが公開されました。


大学・研究機関等公表資料より




糖質摂取量と2型糖尿病罹患リスクとの関連 (国立がん研究センター)

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/
8866.html

 
女性において、でん粉では、摂取量が最も少ないグループと比較して、他のグループでは糖尿病の罹患リスクが高いことがわかりました。一方、男性ではいずれの糖質においても関連はみられませんでした。

さらに、摂取量と糖尿病リスクの量反応関係を曲線グラフで示した結果、女性で、合計単純糖質では一日あたり30%エネルギー以上、合計果糖については一日あたり14%エネルギー以上というような、極端に摂取量が多い場合に、糖尿病の罹患リスクが増加する可能性が示されました。また、でん粉については、4分位に分けて解析した結果と同様、摂取量が多いとリスクが増加していました。
 
 
全国8地域からなる大規模認知症コホート研究で境界型糖尿病とアルツハイマー病との関連を報告 (九州大)

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/
researches/view/713

 
糖尿病診断,HbA1c 高値,グリコアルブミン高値はアルツハイマー病罹患と有意に関連しました。特筆すべきことにHbA1c 5.76.4%の境界型糖尿病では,正常型(HbA1c 5.7%未満)と比べて,アルツハイマー病罹患のリスクが 1.30 倍(オッズ比)に増加していました。
 
(KC やはり、糖尿病は、アルツハイマー病のリスクファクターであることは松がいないみたいですね。)
 
 
健康な日本人の平均的な腸内細菌叢を解明 (神戸大)

https://www.kobe-u.ac.jp/
research_at_kobe/NEWS/news/
2022_01_05_01.html

 
年齢とBMIで計9群に分けた健常者の腸内細菌叢の多様性や菌叢構造はそれぞれ異なっており、各ライフステージや代謝状態に応じた腸内細菌叢が存在することが分かりました。また、腸内細菌の存在割合が9群間で異なっており、腸内細菌腸内細菌間の相互作用が、年齢及びBMI毎に異なることが分かりました。
 
 
ローズマリー由来のカルノシン酸が新型コロナを抑制する可能性 (東京工科大)

https://www.teu.ac.jp/press/
2022.html?id=16

 
ハーブの一種であるローズマリー由来のカルノシン酸(CA)が、新たなメカニズムで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を抑制する可能性を示す。
この抑制は新型コロナウイルスの遺伝子変異の影響を受けないため、ウイルスの株の種類に関係なく抑制できることが期待されます。またCAは脳への高い移行性を有するため、COVID-19の脳における後遺症にも効果がある可能性が考えられます。
 
 
スルフォラファンが炎症誘導性の受容体タンパク質を分解するメカニズムを解明
大腸炎など炎症性腸疾患(IBD)の予防・治療に期待 (九州大)


https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/
researches/view/714

 
P2Y6Rが難病指定されているIBDの発症に寄与することを明らかにしました。
緑黄色野菜に多く含まれるスルフォラファンやイベリンが細胞膜表面にあるP2Y6Rと結合し、細胞内への取り込みと分解を促進することで、炎症を抑制することを明らかにしました。
P2Y6R以外の味覚・嗅覚を司る受容体にも共通する機構であることから、今回の発見は、炎症の予防・治療だけでなく、味覚・嗅覚異常のメカニズム解明にもつながる可能性が期待されます。


先週のトクホ・機能性表示食品情報

特定保健用食品

先週のトクホ・機能性表示食品情報(1月9日~1月15日)
 
特定保健用食品
 
今週はなし


機能性表示食品届出公表

【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。

効率的に使用できるよう、外部サイトへのリンクを貼りました。
会社名のリンク::機能性表示食品まとめ一覧
制度開始から届出た商品を確認できます。

商品名のリンク:機能性表示食品リストとエビデンス
エビデンス詳細・製造工場・摂取時の注意等を確認できます。


今週はなし
 
 
「機能性表示食品届出情報 簡単動画解説」はこちらから
 
YouTube チャンネル名
「機能性表示食品情報」


https://www.youtube.com/channel/
UCz0TQYw99ttqqQCmiKzxVww

 
チャンネル登録をしてご覧いただければ幸いです。


あとがき



おはようございます。
今週は、まだ仕事が本格的になっていないのか、情報量が少なくなっていますが、その反動が来週来るのではと、今からビクビクしています。
 
さて、今日と明日は、大学入学共通テストです。
私が受験した当時は、「共通一次試験」「共通一次」(正式名称 大学共通第1次学力試験)と呼ばれていました。5教科7科目計1000点のテストだったように記憶しています(歳がバレますね)。今は随分と様変わりしているようです。
受験生には、今までの努力が花開くよう期待しています。
 
 
それでは、素敵な週末を。 (KC)

平成30年4月1日 第1号発行

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