2021年9月18日土曜日

薬剤師さんのための健康食品情報第180号

薬剤師のための健康食品情報

平成30年4月1日 第1号発行
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行政からの通知、取り締まり等


先週の行政の動き (912日~918)

 

9月15日 イマジン・グローバル・ケア株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令

https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms214_210913_01.pdf

 

消費者庁は、本日、イマジン・グローバル・ケア株式会社に対し、同社が供給する「ブロリコ」と称する食品に係る表示について、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出しました。

 

表示媒体
() 「ブロリコ研究所」と称する自社ウェブサイト
() 「免疫力を高めるブロリコとの出会い」と題する冊子
() 「病気を予防したいあなたへ。」等と題するチラシ
 
課徴金対象行為をした期間  平成28年11月2日から平成31年1月28日までの間
 
表示内容
あたかも、本件商品を摂取するだけで、免疫力が高まり、疾病の治療又は予防の効果が得られるかのように示す表示をしていた
 
課徴金の額  1億7889万円 (売上 59.6億円)
 
(KC 措置命令は、2019111日に出されています。2年で約60億円売ったのですね。)


健康食品の健康被害情報 国立健康栄養研究所HPより


健康食品の健康被害情報(/12~9/18) 国立健康栄養研究所HPより

(外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起、米国FDA/FTCの新型コロナウイルス対策に関連した虚偽宣伝に関する注意喚起は、掲載していません)
 
9月17日 アイルランド食品安全局がテトラヒドロカンナビノール (THC) を含む製品の自主回収情報を公表
 
■注意喚起および勧告内容
2021915日、アイルランド食品安全局 (FSAIFood Safety Authority of Ireland) が高濃度のテトラヒドロカンナビノール (THC) を含む3製品の自主回収情報を公表。アイルランド食品安全局は当該製品を購入・使用しないように勧告。
■解説
当該製品は、未承認の新規食品 (novel food) であり、欧州食品安全機関 (EFSA) が設定した急性参照用量 (ARfD、健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量) を超えるデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール (THC:大麻の主要成分で幻覚作用を有する) が含まれているため、当該バッチの製品を対象に、業者による自主回収が行われている。現在のところ、当該製品との因果関係が疑われる健康被害については不明。なお、Jacob Hooyブランドの類似製品において、過去にもTHCの検出が報告されている。
https://www.fsai.ie/news_centre/
food_alerts/cbd_oil_various_thc_novel.html
(KC 日本に入ってきているようなことはないと思いますが、一応、アップしておきます。)

素材情報から
新規収載
「タモギタケ」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/
contents/
detail4777.html



患者さんとの会話のための話題提供



LINK de DIETより



#1

鉄サプリメントは子供の認知機能を改善しない?


鉄サプリメントは子供の認知機能を改善しない?
  
鉄分のサプリメントは、貧血を改善するが認知機能を改善しなかった、というバングラデシュの子供3,300人を対象とした豪州ウォルターアンドイライザホール医学研究所からのランダム化比較試験の結果報告。
研究チームは、生後8か月の子供たちに鉄ドロップと家庭用強化パケット(複合微量栄養素粉末)を供給した。
その結果、子供の貧血は改善されたが、認知機能、言語能力、運動能力、行動、身長、体重のすべてにおいて、改善がみられなかったという。
 
乳幼児の貧血は、健康状態の悪化や発育の遅れと関連していると長い間考えられてきた。それが、子供への鉄分供給という普遍的な栄養政策につながったわけだが、今回の研究では、それが当てはまらないことが示された。
それだけでなく、「鉄サプリを摂取する子供たちは、下痢のために実際に診療所への受診が増えた可能性があり、鉄の介入は良いことよりも害を及ぼしている可能性がある」と研究者のひとりは述べている。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/
NEJMoa2034187

#2

中年では1日あたりの歩数は重要だが、思ったほど多くない


中年では1日あたりの歩数は重要だが、思ったほど多くない
 
少なくとも17千歩のウォーキングで中年世代のすべての死因による早死リスクが50-70%低下するかもしれない、という米国マサチューセッツ大学からの研究報告。1万歩以上歩いても更なるリスク低下は見られなかったという。
しばしばアドバイスされる11万歩は、科学的に確立されたガイドラインではなく、日本の歩数計の数十年前のマーケティングキャンペーンの一環として登場したものである、と筆頭著者のアマンダ・パルチ助教授は述べている。
 
研究チームは、1985年に開始され現在も進行中の『若年成人における冠状動脈リスクの発生』(CARDIA)研究のデータを使用した。2005年または2006年に38歳から50歳までの約2,100人の参加者が加速度計を着用して歩数を記録した。その後、約11年間追跡調査し、その結果のデータを2020年と2021年に分析した。
参加者は、低歩数者(7,000歩未満)、中歩数者(7,000-9,999歩)、高歩数者(10,000歩以上)の3群に分けて比較された。
 
「歩数が増えるにつれて、死亡率の段階的なリスクの減少が見られる」とパルチ助教授は言う。「7千歩から1万歩の間に実質的な健康効果が存在したが、1万歩以上での追加の効果は観察されなかった。
14千歩の人が5千歩にするのは意味がある」とパルチ助教授はさらに言う。「そして5千から6千の場合、全死因による死亡率は最大1万歩まで、段階的なリスク低下がみられる。」
https://jamanetwork.com/journals/
jamanetworkopen/fullarticle/2783711

 
(KC 当たり前ですが、歩かないのはマイナスですが、歩きすぎるのも良くないということですね。)
#3
アボカドは女性の腹部脂肪分布を変化させる?

アボカドは女性の腹部脂肪分布を変化させる?
  
毎日のアボカド摂取は、女性の体脂肪をより健康的な構成に再配分するのに役に立つ可能性が高い、という米国イリノイ大学アーバナシャンペン校からの研究報告。
研究チームは、肥満成人155名を対象に、ランダム化臨床試験を実施した。ランダムに2群に分けられ、1群には新鮮なアボカドを含む食事を、別の1群にはアボカドを含まず、同じカロリーを別の食材に置き換えた食事を11回、12週間にわたって提供した。
参加者は、12週間の初めと終わりに、腹部脂肪と糖尿病の指標となる耐糖能を測定された。
 
データ解析の結果、毎日の食事の一部としてアボカドを摂取した女性において、疾病リスクを高める腹部の内臓脂肪が減少したことが明らかになった。体脂肪の分布が変化し、皮下脂肪に対する内臓脂肪の割合が低下したという。
男性では脂肪分布の変化はみられなかった。また男女ともに耐糖能の改善はみられなかった。
https://academic.oup.com/jn/article/
151/9/2513/6311819

 
(KC
身体にとって、良い油とそうでない油はあるのかもしれません。)


先週の健康・健康食品関連情報

先週の健康・健康食品関連情報(9月12日~9月18日)
 
行政公表資料より
 
百歳高齢者表彰の対象者は43,633人 (厚労省)

https://www.mhlw.go.jp/content/
12304250/000672203.pdf

 
百歳以上の高齢者の数は、老人福祉法が制定された昭和38年には全国で153人でしたが、昭和56年に千人を超え、平成10年に1万人を超えました。平成24年に5万人を超え、今年は86,510人(前年比+6,060人)です
また、百歳以上の高齢者のうち女性は76,450人(全体の約88%)です。

(KC 私の生まれた年の100歳人口は153人だったのが、今は8万6千以上になっているのですね。本当に、人生100年時代の到来も近いのかもしれません。)
 
 
「おうちで+10(プラステン)超リフレッシュ体操」特設Webコンテンツの公開 (厚労省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/
newpage_21072.html

 
厚生労働省では、今年度の「健康増進普及月間」(令和3年9月1日~30日)の実施にあたり、運動不足の解消や健康意識の向上、健康づくりのための身近な目標「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」を達成することの支援を目的として、「おうちで+10(プラステン)超リフレッシュ体操」特設Webコンテンツを9月16日(木)より公開します。
 
「おうちで+10(プラステン)超リフレッシュ体操」特設Webコンテンツ

https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/plus10/


大学・研究機関等公表資料より



ビタミンB??、ビタミンB?、葉酸およびメチオニンの食事摂取と食道がんのリスクとの関連 (国立がん研究センター)

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/
8782.html

 
2015年までの追跡期間中に、食道扁平上皮がん332人、食道腺がん17人、分類不能の食道がん78人の計427人(男性382人、女性45人)が食道がんに罹患しました。
解析の結果、ビタミンB12の摂取量が多いほど、食道がんの罹患リスクが高いことがわかりました。
アルコールの摂取状況で対象者を分けたところ、飲酒経験のない人では、ビタミンB12とメチオニンの摂取量が多いグループで食道がんの罹患リスクが高くなりました。一方で、飲酒経験のある人では、アルコール摂取量の多い少ないによらず、食道がんの罹患リスクとの関連はみられませんでした。ビタミンB6と葉酸は、食道がんの罹患リスクと関連はみられませんでした。
 
(KC この結果を見て、ビタミンB12の摂り過ぎに…とか言いだしそうなワイドショーがありそうですが、これはVB12を多く摂ったから、がん発生リスクが上がったわけではなく、VB12の入っている食材の摂取に注目すべきなのですが…。きっと、勘違いする人たちがいると思われる。)
 
 
女性関連要因と日常生活動作(ADL)の制限との関連  (国立がん研究センター)

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/
8781.html

 
閉経年齢が早い人と遅い人では日常生活動作制限のリスクが高いという結果が得られました。早期閉経は、心疾患等のリスクが高まることなどが報告されており、日常生活動作の制限につながった可能性が考えられます。また、これまでの研究で、閉経年齢が早く、エストロゲンにさらされる期間が短いと身体機能低下のリスクが高いことが報告されていることから、身体機能の低下がADL制限につながった可能性も考えられます。一方で、今回の研究では閉経年齢が遅い場合でも日常生活動作制限のリスクが高いという結果でした。閉経後のエストロゲンレベルが高いほうがフレイル(加齢などに伴い心身が弱くなる状態)のリスクが高いという報告もあり、この結果はエストロゲンに長くさらされることが身体機能の低下につながる可能性を示しています。
 
 
豆乳ヨーグルト摂取がヒトの皮膚状態に及ぼす影響を確認 (ポッカサッポロ)

https://www.pokkasapporo-fb.jp/
company/news/release/210910_02.html

 
25歳~51歳の健康な女性25名を、豆乳ヨーグルトを1100g摂取する群(13名、100gあたり大豆イソフラボンを9mg含有)と摂取しない群(12名)の2群に割り付け、6週間の摂取期間前後に前腕、頬、額3か所の肌状態を機器分析により評価する試験を実施しました。
摂取群では非摂取群と比べ、額の皮膚粘弾性を表す指標(R2R7)の変化率が有意に増加し、増加した人数の割合も摂取群の方が高くなる傾向にありました。また、30歳以上の被験者(摂取群9名、非摂取群4名)について層別解析を行ったところ、額の皮膚柔軟性を表す指標(R0)、皮膚粘弾性を表す指標(R2R7)の変化率が有意に増加しました。
自覚アンケート調査では、肌の潤い、乾燥、すべすべ感、化粧のりの4項目で、摂取群では非摂取群と比べて摂取前後の評点が有意に改善しました。
 
 
成長期におけるカルシウムを含むレモン果汁飲料の継続摂取が骨密度に及ぼす影響を確認 (ポッカサッポロ)

https://www.pokkasapporo-fb.jp/
company/news/release/210910_01.html

 
広島県大崎上島町在住小学4年から中学1年生の参加者(2017年当時年齢・38名)を対象に、レモン果汁飲料を毎日1本摂取してもらい、摂取開始前、開始1年後、2年後、36ヶ月後に検査を行い、前腕骨密度の変化を確認しました。
 
その結果、摂取開始前と比較して、男女共に骨密度が年々増加した事が確認できました。更に摂取前に標準値よりも低い傾向にあった骨密度が、摂取開始後に標準値よりも高い傾向を示し、摂取2年以降は、有意に高い値を示しました。一方で、身長や体重などその他の指標については、レモン果汁飲料の継続摂取と相関のある変動は認められませんでした。
(「レモン果汁飲料」は、カルシウム強化したレモン果汁飲料(1290ml当りレモン1個分の果汁30ml、カルシウム350mgを含む))
 
(KC クエン酸でCaの吸収促進させる飲料を使っての試験です。Caは子供の骨密度は上昇させても、背は伸びないという結果にも取れます。)
 
 
パッションフルーツ由来のポリフェノール素材"パセノール"に安静時や日常運動活動時問わず、脂肪燃焼を促す機能を確認 (森永製菓)

https://www.morinaga.co.jp/public/
newsrelease/web/fix/file613f27d0a8508.pdf

 
2040 代の健康な成人男女 9 名を対象に、安静時、および日常活動レベルの運動時の呼気ガスを測定して、脂肪の燃焼割合(脂質代謝比率)の変化を、対照食(プラセボ)摂取の場合と比較しました。その結果、プラセボ摂取 7 日後と比較して安静時や日常活動時問わず脂肪消費量が、パセノール?摂取 7 日後は上がるという結果が確認できました。
 
(KC 既に、機能性表示食品としても届けられています。商品発売間近のプレスリリースですかね?)
 
 
糖尿病や肥満など危険因子が多いほど新型コロナウイルスで重症化しやすいことが明らかに (北里研究所)

 
米国全土の複数医療機関から収集された大規模電子医療記録データベースをもとに、新型コロナウイルスのワクチン接種開始前の期間を対象に、COVID-19と診断された患者28,095人を解析したところ、患者の背景因子のうち年齢が65歳以上、男性であること、2型糖尿病を有していること、BMI30kg/m2以上の肥満であることを、それぞれ1点として加算したとき、点数が高い患者ほど、重篤化する危険性が高まることを明らかにしました。
 
 
学生アスリートの深刻な腸内環境が判明

コハク酸値が大腸炎患者レベル 食物繊維摂取で劇的な改善も期待 (摂南大)

https://www.setsunan.ac.jp/news/
detail.html?id=5309

 
学生アスリートは一般健常人と比べ悪玉菌やそれらが作るコハク酸 (悪い物質)が多く、コハク酸は大腸炎患者レベルに達している選手もいる事が判明
ほとんどの一般健常人で検出される酪酸(良い物質)が少なく、 14は検出不可
対象の学生アスリートのほとんどが排便異常を抱えているのに、事前のアンケートで「体調に問題がない」と回答
食物繊維の摂取量を増やすと、4週間で腸内環境や体調が劇的に改善する例を確認


先週のトクホ・機能性表示食品情報

特定保健用食品

先週のトクホ・機能性表示食品情報(9月12日~9月18日)
 
特定保健用食品
 
9月14日 1件 許可
 

商品名:特茶 TOKUCHA
 
申請者:サントリー食品インターナショナル株式会社

関与する成分:ケルセチン配糖体(イソクエルシトリンとして)

許可を受けた表示内容:本品は、脂肪分解酵素を活性化させるケルセチン配糖体の働きにより、日常の身体活動による脂肪を代謝する力(脂肪の分解・消費)を高め、「体脂肪を減らすのを助けるので、体脂肪が多めの方に適しています。

1日摂取目安量500ml

区分:特保

許可番号:1827


機能性表示食品届出公表

【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。

効率的に使用できるよう、外部サイトへのリンクを貼りました。
会社名のリンク::機能性表示食品まとめ一覧
制度開始から届出た商品を確認できます。

商品名のリンク:機能性表示食品リストとエビデンス
エビデンス詳細・製造工場・摂取時の注意等を確認できます。


今週はなし
 
 
「機能性表示食品届出情報 簡単動画解説」はこちらから
 
YouTube 
チャンネル名
「機能性表示食品情報」


https://www.youtube.com/channel/
UCz0TQYw99ttqqQCmiKzxVww

 
チャンネル登録をしてご覧いただければ幸いです。


あとがき



おはようございます。
何時からできたか、もうすでに忘れてしまいましたが、本日からシルバーウィークです。
とは言え、外出自粛ですので、どこかに旅行に行くわけにもいきません。
(仕事が追い付かず、そもそも出られませんので、負け惜しみにはなります。)
 
今週は、機能性表示食品の届出公開もなく、ページ数が少なくなっています。ただ、情報は面白いものが沢山ありますので、秋の夜長、ぜひオリジナルまでさかのぼって読んでみて頂ければと思います。
 
では、素敵な3連休を。  (KC)

平成30年4月1日 第1号発行

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