2018年9月2日日曜日

薬剤師さんのための健康食品情報(2018/8/26~9/1)

更新:2019年4月21日
薬剤師がぜひ知っておきたい「健康食品」に関する情報 
(2018/8/26~9/1)

平成30年4月1日 第1号発行
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行政からの通知、取り締まり等

先週の行政の動き (826日~91)

今週は、特にありません。

(直接は関係ありませんが)
8月28日 HACCP に沿った衛生管理の制度化に関するQ&Aの公表 (厚労省)

ハーブなども小分けで売る場合は、HACCP対象になりそうですね。


健康食品の健康被害情報(8/269/1) 国立健康栄養研究所HPより

827日 カナダ保健省が医薬品成分 (シルデナフィルなど) を含む製品に注意喚起

■注意喚起および勧告内容
2018824日、カナダ保健省 (Health Canada) が医薬品成分 (シルデナフィルなど) を含む2製品 (下記の一覧参照:写真はカナダ保健省ウェブページより加工転載) に注意喚起。カナダ保健省は当該製品を使用しないように、また、使用して体調に不安を感じている場合は医療機関を受診するように勧告。
製品名  (検出成分)
African Black Ant (シルデナフィル)
Amsterdam Passion Bud(ニコチン)

(KC African Black Antは、日本語のインターネットサイトでも購入できるようでしたので、参考までにアップしておきます、)

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患者さんとの会話のための話題提供

LINK de DIETより

   魚油は、糖尿病患者の心臓発作、脳卒中を予防しない?!
  
糖尿病患者において、魚油サプリメントは、心臓発作や脳卒中を予防しないようだ、という英国、ナッフィールド保健省(Nuffield Department of Population Health)等からの報告。
観察研究では、魚類の高摂取は、冠状動脈疾患、脳卒中の低リスクと関連している。しかしながら、先行の無作為化試験では、オメガ3系脂肪酸を含む魚油サプリメントの摂取は、心血管イベントのリスクを低減させることが示されていなかったという。

今回は、ASCEND試験において、魚油サプリメントは、糖尿病患者の心臓血管イベントのリスクを低下させるかどうか調査したという。2005年から2011年の間、糖尿病を有し、循環器疾患の既往歴のない15,480名の患者を、魚油サプリメント(11g)、または、プラセボを無作為にランダムに割り付けた。主要アウトカムは、最初の重大な心血管イベントとし、非致死性心臓発作、非致死性脳卒中、一過性虚血発作、心臓血管の原因による死亡とした。
結果は、平均7.4年間のフォローアップ中、重篤な血管イベントの発症は、魚油のサプリメント摂取群では689(8.9)、プラセボ摂取群では712(9.2)に認められたという。2群間では、有意差は認められなかった。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1804989?query=featured_home




   適切な睡眠時間は、メタボリックシンドロームを予防するかも
  
睡眠時間が6時間未満の場合や10時間以上の場合、メタボリックシンドロームのリスクが高かったという、韓国のソウル国立大学からの研究報告。
本研究は、4069歳の男女133,608名を対象に行った横断研究である。研究(HEXA研究)では、住民を対象として社会的背景や食事、身体活動、服薬、血球や遺伝子等の情報を収集した。このうち「過去一年で、1日の睡眠時間(昼寝も含めて)はどれくらいですか」という質問項目を用いて、メタボリックシンドロームとの関連を検討した。

研究の結果から、睡眠時間が6時間未満の男性では、メタボリックシンドロームや腹部が大きい割合が高く、女性においても、腹部が大きい割合が高かった。一方で、睡眠時間が10時間以上の男性では、メタボリックシンドロームや血中の中性脂肪が高く、女性では、HDLコレステロール値の低値、血糖や中性脂肪の高値、腹囲が大きい、メタボリックシンドロームの割合が高かった。睡眠時間が6時間未満の割合は、男性で11%、女性で13%であり、10時間以上の割合は、男性で1.5%、女性で1.7%であった。

睡眠とメタボリックシンドロームの関連のメカニズムについては、明確ではないが、睡眠時間が7時間未満の場合、ホルモンの上昇により食欲の増加、カロリー摂取量やエネルギー消費量の減少が、肥満や腹囲に影響を与える可能性があるという。


   甘い物、昼間だけならダメージ軽減
  
砂糖の摂りすぎによる悪影響は数多くあるが、摂る時間帯を昼間だけにすれば、昼夜問わず摂るよりダメージは抑えられるようだという。名古屋大学の研究。

ショ糖(いわゆる普通の砂糖。ブドウ糖と果糖により構成される糖の一種)の過剰摂取は肥満や高血圧に関連することは知られているものの、その発症メカニズムや抑制方法については不明な部分も残っている。

名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授らの研究チームは、ラットを用いた実験により、ショ糖の多い食事を与えるタイミングを活動時間帯、つまり「昼間」に限ることで、体内の過剰な糖分による悪影響の多くを軽減できることを明らかにした。

今回、ラットを食事内容と与える時間帯によって次の4群に分けて比較を行った。なお、夜行性であるラットにとっての「昼間」は夜にあたる。
①高ショ糖食・「昼間」のみ
②高でんぷん食・「昼間」のみ
③高ショ糖食・24時間自由摂取
④高でんぷん食・24時間自由摂取
4群の体重・血液と肝臓の脂質・肝臓の遺伝子発現などについて調べたところ、食事量は同等だったにも関わらず、①の高ショ糖食を昼間のみ摂取した群の血中脂質と肝臓脂肪は、③④の24時間自由摂取群よりも低かったという。
また、脂質の低さの原因は脂質代謝遺伝子の発現とは全く関係のないこと、そして食事を摂る時間の制限が功を奏したことが示された。

世界中に蔓延する砂糖の過剰消費によるダメージを軽減するには、摂取する時間帯を昼間のみに制限することが有効であるかもしれない、などと研究者は話している。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0201261




先週の健康・健康食品関連情報(826日~91)

行政公表資料より

今週は特にありません。

大学・研究機関等公表資料より

亜鉛欠乏症のメカニズムの一端を解明  (京都大学)

亜鉛は体内に約2g含まれる必須ミネラルです。体内で亜鉛が不足すると、皮膚炎や脱毛、味覚障害や下痢など、実にさまざまな症状(亜鉛欠乏症)が起こります。
日本人は潜在的な亜鉛欠乏状態である割合が高く、最近の報告でも先進国で唯一1030%が亜鉛欠乏状態にあると報告されています。

細胞外のATP(アデノシン三リン酸)の分解に関わる酵素の多くが亜鉛を必要とする亜鉛要求性酵素であることに着目し、亜鉛不足が細胞外におけるATPの蓄積、およびATPの分解産物であるアデノシンの減少を引き起こすことを世界で初めて明らかにしました。
亜鉛欠乏症のさまざまな症状が、細胞外のATPの分解の異常によって引き起こされていることを強く示唆する結果です。


緑茶カテキンに免疫チェックポイント阻害剤の活性があることを発見 (埼玉大学)

緑茶カテキンが免疫チェックポイント分子PD-L1の発現を減少させ、肺がんの増殖が抑制されることを発見しました。近年、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤が、進行がんの治療において著しい効果を上げると報告されています。抗体医薬である免疫チェックポイント阻害薬にはPD-1PD-L1との結合をそれぞれ直接阻止する薬がありますが、私共の実験はがん細胞に発現するPD-L1の量を緑茶カテキンが減少させて、抗腫瘍免疫の活性を回復することを明らかにしました。

(KC まだ、細胞レベルとラットでの試験結果ですが、きっと健康食品メーカーは、宣伝に使うでしょうね。)


和製ハーブ「クロモジ」エキスのインフルエンザ予防効果 (愛媛大学)

愛媛大学医学部附属病院に勤務する看護師ら男女 135 名(1名脱落)を対象 に、二重盲検試験を実施しました。クロモジエキスを67mg配合した飴を摂取した グループとプラセボ飴を摂取したグループを比較。クロモジエキス配合飴摂取群 (毎日 3 回、12 週間)は、プラセボ飴摂取群より、インフルエンザ感染者数が有 意に少ない結果となりました。


先週のトクホ・機能性表示食品情報(826日~91)

特定保健用食品の許可

今週は、許可の公表なし


機能性表示食品届出公表(826日~91)

今週は、届出の公表なし

(機能性表示食品撤回情報)

30827日付け
株式会社リコム ・・・・ キトグルカン(エノキタケ抽出物):エノキタケ由来遊離脂肪酸混合物
撤回理由「届出表示文言変更のため」

30829日付け
B372 「今日のおかず 海鮮カレー丼の具」
日本水産株式会社 ・・・・ EPADHA
撤回理由「発売の見込みがない為」

(KCの独り言)
 A8「蹴脂粒」は、機能性表示食品の第1回目の届出公表された時の商品ですが、公表されたときは、消費者団体が大騒ぎをしました。私のところにも、色々な方から取材依頼が入ったのを思い出します。
キトグルカン(エノキタケ抽出物)を関与成分とするトクホに関して、安全性が評価できないとして、許可しないことになっているのに、どうして機能性表示食品として認められるのかという議論でした。
トクホの審査でも、「安全でない」と言っているわけでなく、提出データでは「安全性を評価できない」と言っているのであり、論点が違っていましたが、大騒ぎとなり、消費者庁長官会見で、「安全でない」というデータはないので、機能性表示食品として販売されることは問題ないという結論を出しました。結局、メーカーは、トクホは申請の取り下げ、機能性表示食品は、販売するという形となりました。今回の届出撤回は、販売をやめてしまうということではなく、再度、機能性表示の文言を改めて、届け直しをするとのことです。
そもそもこの商品どれくらい売れているのでしょうね?

機能性表示食品の届出一覧は、情報検索のデータベースで確認できます。
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/

平成30年4月1日 第1号発行