薬剤師がぜひ知っておきたい「健康食品」に関する情報 (2018/12/30~2019/1/5)
更新:2019年4月21日
平成30年4月1日 第1号発行
平成30年4月1日 第1号発行
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新年あけましておめでとうございます。
昨年は、多くの応援とご指導をいただき誠にありがとうございました。
本年も昨年同様に、ご指導ご支援をいただきますようお願い申し上げます。
今週は、年末年始のため、提供できる情報がありませんので、「2018年の健康食品重大ニュース」を一年間の復習として記載します(あくまでKC個人の選択基準で選んでいます。なお、順番に意味はありません)。 |
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①課徴金健康食品初の1億円
2018年は、景品表示法違反の措置命令に対する課徴金の納付命令が1年間(1月1日~12月31日)で29件出されました。 多くが、健康食品を含む健康関連製品の販売にための広告・宣伝に対する優良誤認に対するものでした。 そしても課徴金が1億円を超えるものまでありました。 下記に、健康食品に関連する課徴金納付命令をまとめておきます。
課徴金は、売上の3%となっているので、「めっちゃたっぷりフルーツ青汁」は、2年3か月で、約36億2200万円を売り上げたことになります。
措置命令の件数も増えており、今年以降も課徴金納付命令が増えることが予想されます。 |
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②機能性表示食品 今年も堅調な届け出
平成30年度の届出は、ガイドラインの改定により、年度当初は届出件数が伸び悩んだが、秋から一気に件数が増え、30年12月31日現在の公表件数が、304件(11月9日届出分まで)となっており、最終的には平成29年度の452件を上回るペースの届出となっている。 一方で、制度が始まって、29年12月31日現在、全1686件が届け出られ、144件が届出撤回されている。
③食品衛生法の改正 6月13日に、約15年ぶりに食品衛生法改正が公布された。
改正点の概要は、下記のとおり。
1.広域的な食中毒事案への対策強化 国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のため、相互に連携や協力を行うこととするとともに、厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとする。
2.HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化
原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を
考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。
3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害情報の届出を求める。
4.国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。
5.営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
実態に応じた営業許可業種への見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める34業種)以外の事業者の届出制の創設を行う。
6.食品リコール情報の報告制度の創設
営業者が自主回収を行う場合に、自治体へ報告する仕組みの構築を行う。
7.その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等)
とくに、健康食品では、「特別の注意を必要とする成分」として指定された成分を含む健康食品を製造・販売する場合、健康被害情報の届出の義務化が行われる。本年の夏までには、指定成分も公表されそうである。 また、6.食品リコール情報の報告制度の創設に関しては、12月14日、食品表示法の一部を改正する法律も公布されました。 |
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④薬機法改正のための報告書
12月 25日、 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会から、薬機法の制度改正に関する報告書が公表されました。薬機法の改正は、平成31年度に行なわれる予定ですが、その骨子となる報告書が公表されました。 無承認医薬品の広告、医薬品の誇大広告に対して、課徴金制度が導入されることが謳われており、課徴金の額の算定については、違法行為の対象となった製品の売上額に一定の算定率を乗じる簡明な算定方式を採用すること、 納付命令の実施主体については、国と都道府県等の双方に権限を付与することが盛り込まれている。 ⑤機能性表示食品 機能性表示が薬機法違反で撤回 機能性表示食品として届出され、既に市場出ているものについて、厚生労働省からの指摘により、消費庁から届出メーカーに対し、撤回の指導があった。 「3-ヒドロキシ-3-メチルブチレート(HMB)には、自立した日常生活を送る上で必要な筋肉量及び筋力の低下抑制に役立つ機能、歩行能力の改善に役立つ機能、体脂肪の減少に役立つ機能があることが報告されています。」の、「歩行能力の改善」が、医薬品的な標榜にあたるとされたもの。 オパルモン(リマプロスト アルファデクス)の効能・効果に「・後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しびれ)および歩行能力の改善」があり、指摘されたと言われている。 HMBだけでなく、「ロイシン40%配合必須アミノ酸」の「足の曲げ伸ばしなど筋肉に軽い負荷がかかる運動との併用で、60代以上の方の、加齢によって衰える筋肉の維持に役立つ筋肉をつくる力をサポートする機能と、歩行能力の改善に役立つ機能があることが報告されています。」についても、指導が入っているようである。 また、昨年夏には、GABAの睡眠の質(寝つき)に関して、OTC医薬品の効能に抵触するとして認められなくなっている。 ⑥機能性表示食品ガイドライン第3次改訂公表 3月 28 日に、機能性表示食品ガイドラインの第3次改訂が公表された。改定は即時改定と届出データベース改修後から改定の2段階での運用となった。 即日運用として
届出確認の迅速化 (事業者団体等の事前確認)
生鮮食品の届出 (一部を摂取できる旨の表示)
糖質、糖類の届出
分析方法の開示
出データベース改修後運用(2019年3月末 ?)
届出資料の簡素化(改正前より入力項目の約30%削減)
届出確認の迅速化 (機能性表示食品(再届出))
植物エキス及び分泌物の届出
販売状況の届出
資料の簡素化も重要だが、届出後の質問についても、何とかしてほしいところである。 ⑦特別用途食品の拡大の動き 4月1日から、「とろみ調整用食品」の追加、8月8日から「乳児用調製液状乳」が追加された。 また、秋には日健栄協から、特別用途食品に関し、3つの要望が出され、既に変更の方向で、審議されている。
要望内容
1. 総合栄養食品の許可基準見直し
(1)病者の使用実態に合わせ、「経口もしくは経管で摂取するのに適している旨」を許容される特別用途表示の範囲として加えていただきたい。
(2)現行では栄養成分の基準および標準範囲を外れて調整した成分がある場合は「○○調整」と表示することとあるが、消費者の誤認リスクを低減する目的で、「○○増量調整」および「○○低減調整」に変更願いたい。
(3)栄養成分の基準および標準範囲について、静脈経腸栄養ガイドライン第三版や日本人の食事摂取基準2015年版、現行製品の使用実績等が考慮された数値に変更願いたい。
2. 個別評価型病者用食品に関する許可基準の見直し
個別評価型病者用食品における「関与する成分」として、「疾病の治療等に関与する食品
成分」に加え、「機能性成分」を追加願いたい。
3. 病者用食事セット(腎臓病用・糖尿病用)の追加
規格基準型病者用食品に病者用食事セット(腎臓病用・糖尿病用)を新規追加願いたい。
⑧食品表示法の完全施行まで、1年3か月 食品表示法が、平成27年4月1日に施行され、加工食品については、栄養成分表示が義務付けられ、その措置期間の32年3月31日まで、残り1年と少しとなった。 消費者庁をはじめ各地方庁から、食品事業者への啓もう活動が活発に行われている。 残念ながら、大手事業者を除く多くの事業者で対応できていないのが現状であり、今年は対応に追われる事業者も増えそうである。 旧食品表示から変更・追加しなければならない主な点
・原材料と添加物の明確な区分
・アレルゲンの表示をより見やすく(原則個別表示、特定加工食品表示の廃止など)
・製造所固有記号の原則使用禁止と製造所の記載
・栄養成分表示の義務化(Naから食品相当量への変更)
・原料原産地の記載義務化(34年3月31日まで)
⑨ドラックストアーの機能性表示食品の販売を推進してきた日本チェーンドラッグストア協会事務総長 宗像守 氏が逝去 日本チェーンドラッグストア協会を立ち上げ、ドラッグストアこそが健康維持や予防を担える業態であり、2025年ドラッグストア業界10兆円産業にすることを目標に、ドラックストアー業界を牽引してきた日本チェーンドラッグストア協会事務総長 宗像守 氏が、6月26日に逝去された。 あらためて、心より深く哀悼の意を表します。 ⑩その他 ・機能性表示食品の売り上げは、右肩上がり、2018年度は2000億円にも届く勢い
・トクホの売り上げも、落ちることなく、微増
・遺伝子組み換え食品の表示変更のための食品表示基準案の公表
・食品表示のグランドデザインの見直し検討会開催
・食事摂取基準(2020年版)の策定の検討スタート
・サプリメントのアンチドーピング認証取得が拡大
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先週の行政の動き (12月30日~1月5日) 特になし
健康食品の健康被害情報(12/30~1/5) 国立健康栄養研究所HPより
特になし |
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患者さんとの会話のための話題提供 LINK de DIETより ①運動vs.薬、高血圧に「より」効くのはどっち? 高血圧患者にとって、運動は血圧降下薬並みに血圧を下げる可能性が示された。とくに持久力トレーニングと動的筋力トレーニングを組み合わせることで収縮期血圧の低下に期待できそうだという。英国ロンドン大学LSE校の研究。 高血圧(収縮期血圧140mmHg以上)の改善には、血圧降下薬の服用のほか運動も効果的といわれるが、どちらがより血圧を下げてくれるのだろうか。 これまでに、運動と血圧降下薬の効果を直接比較した臨床試験はないため、研究者らはそれぞれの効果について検討した試験を収集し、統合して解析することにした。 具体的には、運動については構造化された運動プログラムと血圧の関係についての臨床試験197件、血圧降下剤についての試験は194件を用いた。 構造化運動は次のように分類した。 (1)持久性トレーニング:ウォーキング、ジョギング、ランニング、サイクリング、水泳、高強度インターバルトレーニング (2)動的筋力トレーニング:ダンベルやケトルベルなどの筋力トレーニング (3)アイソメトリック運動:静的プッシュアップなど (4)持久性トレーニングと動的筋力トレーニングの組み合わせ そして、3つの角度から分析をした。まずは全分類の血圧降下薬と全分類の運動の比較。そして、各種類の薬と各種類の運動の比較。さらに薬の用量の違いと運動強度の違いによる比較を行った。 その結果、構造化運動プログラムを受けている人々よりも血圧降下薬を服用した人々の方が血圧は低くなったことが示された。ただし、ここで注意すべきなのは、血圧降下剤の試験の対象者には必ず高血圧患者が含まれていたのに対し、運動プログラムの試験のうち高血圧患者が含まれていたのは1/4程度のみだったことだ。 そこで、対象を高血圧患者に限定して再解析したところ、運動はほとんど血圧降下薬と同程度の効果的が見出されたという。さらに運動の有効性は、高血圧の基準値:140 mmHgを超えて上がるほど高くなると分かったという。 研究者らはまた、「持久力トレーニングと動的レジスタンストレーニングを組み合わせることが[収縮期血圧]の低下に効果的であることも発見した。 なお、今回の結果は有望ではあるが「血圧降下薬を取りやめて運動療法に切り替えるほうが良い」といえるまでの確証が得られた訳ではない、と研究者らは忠告している。構造化された運動プログラムの試験は、血圧降下薬の試験に比べて少なく、小規模であったためだ。 https://bjsm.bmj.com/content/early/2018/12/05/bjsports-2018-099921 |
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先週の健康・健康食品関連情報(12月30日~1月5日)
行政公表資料より
自覚症状のない糖尿病の重症化を防ぐために~国民健康保険における糖尿病性腎症重症化予防の取組に関する調査~ (厚生労働省) 国民健康保険(以下「国保」という)における糖尿病性腎症重症化予防の取組を調査報告書に取りまとめましたので、公表します。 わが国の高齢化の進行に伴い、生活習慣病が増加し、中でも糖尿病は、初期段階では自覚症状が無いため、長年放置されると、糖尿病性腎症の重症化進行により人工透析による治療が必要となるリスクがあります。この場合、患者本人及び家族の苦痛は著しく、また医療費負担の増大が懸念されます。 今回、糖尿病性腎症重症化予防の取組に関して、長野県松本市、埼玉県及び所沢市、志木市並びに東京都足立区の国保を訪問して、調査いたしました。 (報告書概要) https://www.mhlw.go.jp/content/12605000/000464413.pdf (報告書全文) https://www.mhlw.go.jp/content/12605000/000464416.pdf 大学・研究機関等公表資料より 日本人女性アスリートにおける疲労骨折発生の危険信号を同定 (慶応大学) https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2018/12/21/181225-1.pdf 疲労骨折の既往と無月経を含む月経障害の既往が相関し、月経障害により疲労骨折発生のリスクが約8倍上昇することを明らかにしました。疲労骨折の既往があると次の疲労骨折を起こすリスクが約5倍になること(χ二乗検定=4.99, p <0.05)、また、過密な練習の結果、運動による消費エネルギーが高いと疲労骨折を起こしやすくなることも示されました。加えて、血液検査の結果から、疲労骨折既往者ではCK とLDH の値が有意に高く(CK: p <0.05, LDH: p <0.01)、OC と ucOC の値が有意に低い(OC: p <0.05, ucOC: p <0.05 )ことが分かりました。これらのことから、この4つの分子がバイオマーカーとして有用であることが示されました。 がん患者の人生の最終段階における苦痛や療養状況に関する初めての全国的な実態調査の結果を公表 (国立がん研究センター) https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/1226/pr_release20181221_01.pdf 患者の人生の最終段階において、医療者は患者の苦痛を取り除くために速やかな対応に努めている状況が推測され、医療に対する満足度は高くある一方で、必ずしも全ての人の苦痛が十分に取り除かれていない現状が示唆されました。今後は、これらの苦痛を軽減するため、必要となる緩和ケアや医療に関する施策や研究について、より一層進めていくことが重要と思われます。 |
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先週のトクホ・機能性表示食品情報(12月30日~1月5日)
特定保健用食品 今週はなし。 機能性表示食品届出公表(12月30日~1月5日) 今週はなし。 機能性表示食品の届出一覧は、情報検索のデータベースで確認できます。 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/ 今週も、最後までお付き合いくださりありがとうございました。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 (KC) |
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平成30年4月1日 第1号発行