2019年6月22日土曜日

薬剤師さんのための健康食品情報第65号:(2019/6/16~2019/6/22)

平成30年4月1日 第1号発行
>>> バックナンバー 一覧 <<<
スポンサーリンク
行政からの通知、取り締まり等
先週の行政の動き (6月16日~6月22日)

6月19日 2018 年度の審査概況 (日本広告審査機構)

「健康食品」については、医薬品医療機器等法景品表示法、特定商取引法などに照らして問題があると思われる広告への苦情が多い。
苦情件数 「健康食品」 520件 前年比 135.4%
業務委員会で審議し「見解」を発信したのは 26件で、内訳は警告 21 件、要望 3 件、提言 2
であった。見解対象となった業種は「健康食品」8件、「化粧品」6件、「医薬部外品」2件など。

2018 年度の警告一覧(健康食品関連)より
・店頭の音声広告で、「何もしないで痩せられる」とうたって健康食品の宣伝をしていたドラッグストア(店頭)
  → ドラッグストアの健康食品売り場における音声広告で、ドラッグストアは広告作成者として医薬品医療機器 等法、景品表示法、健康増進法を適用し、問題を指摘した。
・ミトコンドリアの働きを改善することで不妊に効果があるかのように標ぼうした健康食品(インターネット〈自社 通販サイト〉)
・プラセンタ注射と同等の効果があるかのようにうたった健康食品(インターネット〈SNS インフィード、ランディ ングページ、自社通販サイト〉)
・「妊活」「授かる体の新習慣」などとうたった青汁(インターネット〈動画、自社通販サイト〉)

詳細は、

(KC このほか多くの化粧品、医薬部外品の広告違反例が出ています。)


6月21日 規制改革実施計画の公表 (首相官邸)

令和元年度の規制改革実施計画が公表された。

規制改革実施計画

目次から
3. 医療・介護分野
 (1) 規制改革の観点と重点事項
 (2) 医療等分野におけるデータ利活用の促進
 (3) 患者による医薬品情報へのアクセス改善
 (4) 機能性表示食品制度の運用改善
 (5) 日本医療研究開発機構の研究開発に係る各種手続の簡素化
 (6) 社会保険診療報酬支払基金に関する見直し

(KC 内容は、規制改革会議の第5次答申の内容と同じ。)


(行政とは直接関係ありませんが)
6月21日 安全性の高い認証プログラムを通過した商品リストサイト公表 (日本スポーツ栄養協会)

生産施設審査と製品分析の両方の条件を満たしているアンチ・ドーピング認証プログラムで認証を受けた商品を集約し、当サイトで情報提供していくことになりましたとして、
下記2団体が認証した商品を紹介しています。

INFORMED CHOICELGC)の認証取得商品
CERTIFIED DRUG FREEBSCG)の認証取得商品
スポンサーリンク

健康食品の健康被害情報(6/16~6/22) 国立健康栄養研究所HPより
(外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起は掲載していません)

今週は特になし

「素材情報データベース」の追加収載情報より
「クロセチン」有効性:脳・神経・感覚器
・健康な男性または閉経後女性24 (平均50.8±6.9歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、クチナシ由来クロセチン7.5 mg/日を14日間摂取させたところ、睡眠時の脳波計測値6項目中1項目 (デルタ波出力) およびOSA睡眠調査票MA版の5項目中2項目 (起床時眠気、疲労回復) で改善が認められた。
 Complement Ther Med. 2018 Dec;41:47-51.

(日本人のデータではないですが。)
「モリンガ」安全性:危険情報
・糖尿病、高血圧のためメトホルミン (糖尿病治療薬) 、エナラプリル (ACE阻害薬) を服用中の53歳男性 (スリランカ) が、モリンガの葉を含む食事を摂取したところ、口腔内に潰瘍を生じた。3ヶ月後に再びモリンガの葉を摂取したところ、14時間後より発熱、全身性の斑状発疹を生じ、翌日、口腔内に潰瘍を生じて嚥下困難となった。モリンガの葉によるスティーブンス・ジョンソン症候群と診断され、加療により改善した 
Ceylon Med J. 2018 Dec 31;63(4):188-189.
患者さんとの会話のための話題提供

LINK de DIETより
小児、若年成人の重度の健康問題に関連するサプリメント
  
減量、筋肉増強、エナジー系のサプリメントは小児、若年成人における有害事象が多いようだ、という米国ハーバード大学からの研究報告。
研究チームは、米国FDAの有害事象報告システムから20041-20154月のサプリメントによる有害事象を検索した。対象者が0-25歳の症例を選び、重症例(死亡、障害、入院)とそれ以外に分類してその相対リスクを計算した。
977件の有害事象がみつかった。約40%が重症例であった。減量、筋肉増強、エナジーに関連するサプリメントによる重症例は、ビタミンなどに比べてほぼ3倍多かったという。

性機能強化、腸洗浄に関するサプリメントもビタミンに比べて重症例が2倍多かった

「まともな医師はこの研究の対象になったような種類のサプリメントの使用を推奨していない。これらの製品の多くは、処方薬、禁止物質、重金属、農薬、その他の危険な化学物質が混ぜられていることが多く、脳卒中、精巣がん、肝障害、死亡の原因となっている」と研究者はコメントしている。

(KC  アメリカと日本のサプリメントの使用事情は違いますが、気にかけておかないといけない内容だと思います。)

筋肉には朝の運動、ダイエットには夜の運動
  
運動の効果は、行う時間帯によって異なる可能性が示された。朝の運動によって骨格筋の代謝反応が向上したのに対し、夕方以降の運動では長時間に渡るエネルギー消費量の増大がみられたという。デンマーク・コペンハーゲン大学の動物実験から。
健康的な概日リズムがどれほど重要かを、おそらく私たちは皆すでに知っている。だが、体内時計の健康への栄養に関する、新しい発見はさらに増えている。

コペンハーゲン大学などによる研究チームは、運動を行う時間帯によって異なる効果を生む可能性があることをつきとめた。夜行性動物であるマウスを用いた実験で、人間でいう朝にあたる時間帯に行った運動の効果が、夕方にあたる時間帯に行った運動の効果とは異なること、しかもその違いはかなりおおきいようであることを明らかにしたのだ。
「これらの違いは体内時計によって制御されているようです。朝の運動は筋肉細胞の遺伝子プログラムを起動させるとともに、より有効にし、糖と脂肪の代謝能力を高めます。その一方で、夕方の運動は全身のエネルギー消費量を長時間増加させるのです」と研究者のトゥリーバック准教授は述べている。

朝の運動が夜の運動よりも良い、とは限らない
研究チームは、転写反応や代謝産物への影響など、筋細胞におけるさまざまな影響を測定した。結果、いずれの領域においても朝の運動後に反応がはるかに強くなること、そしてこれは体内時計を直接調整しているたんぱく質HIF1-αを含む、中心的メカニズムによって制御されている可能性が高いことを示している。

朝の運動は、筋肉細胞の糖・脂肪の代謝能力を高めると考えられる。このような効果は、深刻な過体重の人や2型糖尿病など慢性疾患の患者の治療戦略への応用が期待される。
一方、今回の実験では夕方の運動が運動の数時間後にエネルギー消費量を増加させることも示された。したがって、必ずしも朝の運動が夕方の運動より優れていると結論付けることはできない、とツリーバック准教授は強調している。

(KC  まだ、マウスの実験結果ではありますが、朝と夜の2回ウォーキングしたらどうなのでしょうかと思う報告です。)

甘草茶は患者に高血圧緊急事態を引き起こす
  
甘草(リコリス)は欧米でも伝統的なハーブの一つとして摂取されるが、高血圧緊急症による入院の症例がみられた、というカナダ・マギル大学からの報告。
ハーブには過剰な摂取により有害な副作用を起こすものがある。甘草の根の抽出物は血圧を上昇させ、水分の貯留とカリウムの低下を惹起する可能性がある」と研究者は説明する。

今回の症例は、84歳の男性が、高血圧緊急症によって救急外来に搬送されたものである。甘草根で煎れたホームメイドティーによって惹起された。血圧が急激に上昇し、頭痛、光過敏症、胸痛、疲労、ふくらはぎにおける水分の貯留を示した。
患者は高血圧の病歴があり、「Erk Sous」と呼ばれる当該の甘草茶を2週間前から日に1-2杯飲んでいた。
甘草茶は中東と一部の欧州で一般的であり、Erk Sousはラマダン中のエジプトで特に一般的であるという。

(KC  日本で甘草茶というのは、あまり耳にしませんが、記憶しておいたほうが良い情報ですね。)

 
卵のコレステロールは、心疾患、死亡リスクに関連
   
心臓病と死亡のリスクは食べる卵の数に従って上昇するようだ、という米国マサチューセッツ大学からの研究報告。
研究チームは、全米の3万人近い成人の食生活、健康状態、生活習慣を平均17.5年にわたって追跡調査した結果、卵に含まれるコレステロールを大量に摂取することは、悪い健康影響と関連していることを発見したという。

米国人の卵の摂取量は上昇しており、農務省によれば、2012年には一人当たり年間254個だったものが、2017年には279個になっていた。
米国の現在の食生活指針では、卵の摂取量についての注意はないという。ガイドラインは5年ごとにアップデートされるが、近年専門家は、食事中のコレステロールよりも飽和脂肪酸が血中コレステロールを上昇させる要因とみるようになった。そのために指針に含まれなかったのではないかという。2015年以前には、ガイドラインでは1300mg以上のコレステロールの摂取を制限していた。

大きな卵1個には200mgのコレステロールが含まれている
今回の研究は、具体的な卵およびコレステロールの摂取量を設定するものではないが、コレステロールの摂取が1300mg増えるごとに、心血管疾患の発症リスクが17%、死亡リスクが18%上昇することと関連することを発見したという。

「週に数個の卵を食べるのは理にかなっているだろう」と主任研究者のキャサリン・タッカー教授は語っている。それは目や骨の健康に良いのだという。「けれども、私は人々に1日に卵3個のオムレツを食べることは避けるようにお勧めする。栄養は全て中庸とバランスの問題なのだ。」

(KC 何でも、一つの物を多くとり続けるというのは、感心しませんが、「卵」に関しては、数年ごとに摂ったほうが良いという意見と、とるべきでないと意見が出てきます。)

先週の健康・健康食品関連情報(6月16日~6月22日)
行政公表資料より

特になし
大学・研究機関等公表資料より
血中性ホルモン濃度と大腸がん罹患との関連 (国立がん研究センター社会と健康研究センター)

テストステロン濃度が高い場合、大腸がんリスクが上昇することが分かりました。動物実験の結果から、テストステロン投与により大腸腺腫の発生を促進する可能性や、アンドロゲン受容体の遺伝子配列が大腸がん患者と健常者で異なることなどが報告されていることから、テストステロンが大腸がんの発生に関係していることが示されています。
また、イソフラボン摂取が低いグループでSHBG濃度と大腸がんリスクに有意な正の関連が認められ、イソフラボンの摂取量により、SHBG濃度と大腸がんリスクの関連は異なることが示唆されました。SHBG濃度が高いグループでは、SHBGに結合していないエストラジオールの濃度が低いと考えることができます。先行研究より、イソフラボンを多く摂取することで、エストラジオール濃度が上昇することが示唆されているため、イソフラボン摂取量が高いことにより、SHBG濃度が高い場合でも、大腸がんリスクが減少した可能性が考えられます。


食事由来の抗酸化能と糖尿病との関連 (国立がん研究センター社会と健康研究センター)

食事由来の抗酸化能と糖尿病発症との関連は見られませんでした。食事由来の抗酸化能と糖尿病発症に関する欧米の報告では、フランス人女性において、食事由来の抗酸化能が高いほど糖尿病発症のリスクが減少することが報告されています。本研究と結果が異なる理由ははっきりしませんが、追跡期間の違いや食事由来の抗酸化能に寄与している食品が異なるためかもしれません。


ゼラチンの継続摂取は季節の影響で低下する肌弾力を維持する研究結果(森永製菓)

冬から春に向かう環境変化の厳しい 1 月中旬~3 月中旬の 8 週間、5565 歳の健康な女性 44 名を対象にしたゼラチン 継続摂取の作用について、プラセボを比較対照とした試験を実施しました。
機器測定の結果、解析対象とした被験者全員での比較では、有意な差は認められませんでした。 肌の状態があまりよろしくないと推定される方を除いて解析した結果、プラセボを摂取した群では開始前から 8 週後にかけて肌弾力の値の平均値に低下がみられ、ゼラチンを摂取した群では値の低下が抑えられました。両群間の比較では、統計学的に有意な肌弾力の低下抑制( P <0.05)が認められました。


東海大学駅伝チーム対象の臨床試験で天然アスタキサンチンの疲労軽減効果を確認 (東海大学)

・アスタキサンチンを摂取したグループでは、摂取8週後において、問診項目「疲労の回復速度」「筋肉痛」「身体の重さ」が有意に改善あるいは改善の傾向を示した。
・筋肉損傷と関係がある血清中のクレアチンキナーゼ(CK)は、摂取8週間後において、プラセボ摂取グループと比較してアスタキサンチン摂取グループが有意に低かった。

(KC  トップアスリートが使用した結果が、一般の人の運動に対する疲労軽減と同じ結果が出るとは限りませんが、CK値に影響を与えるならば、効果が期待できるかもしれませんね。)
先週のトクホ・機能性表示食品情報(6月16日~6月22日)
特定保健用食品

619日   1件 許可

1
商品名ヘルシアウォーターs
申請者:花王株式会社
関与する成分茶カテキン
許可を受けた表示内容
本品は、脂肪の分解と消費に働く酵素の活性を高める茶カテキンを豊富に含んでおり、脂肪を代謝する力を高め、エネルギーとして脂肪を消費し、体脂肪を減らすのを助けるので、体脂肪が多めの方に適しています。
1日摂取目安量:500ml
区分:特保
許可日:R1.6.19
許可番号:1789

2
商品名ペプシスペシャル ゼロ o
申請者:サントリー食品インターナショナル株式会社
関与する成分難消化性デキストリン (食物繊維として)
許可を受けた表示内容本品は、難消化性デキストリン(食物繊維)の働きにより、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させ、食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにするので、脂肪の多い食事を摂りがちな方、血中中性脂肪が気になる方の食生活の改善に役立ちます。
1日摂取目安量:490ml
区分:再許可等特保
許可日:R1.6.19          

機能性表示食品届出公表(6月16日~6月22日)
【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。
E82
ワンワールドCoffee(コーヒー)
シオノケミカル株式会社
その他加工
難消化性デキストリン(食物繊維)
本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。 難消化性デキストリン(食物繊維)は、食事から摂取した糖や脂肪の吸収を抑えるので、 食後の血糖値や血中中性脂肪の上昇を抑える機能があることが報告されています。 また、おなかの調子を整える機能があることが報告されています。

E83
肥満気味の方の体重・体脂肪・ウエストサイズを減らすことをサポートし、高めのBMI(ビーエムアイ)値の改善に役立つサプリメント
株式会社三昧生活
サプリ
アフリカマンゴノキ由来エラグ酸
本品にはアフリカマンゴノキ由来エラグ酸が含まれています。アフリカマンゴノキ由来エラグ酸は肥満気味の方の体重、体脂肪、ウエストサイズを減らすことをサポートし、高めのBMI値の改善に役立つことが報告されています。
スポンサーリンク


今週の注目の届出
今週は特になし。
強いて言うなら、E83の販売名が、異常に長いことに注目するくらいです。

機能性表示食品の届出一覧は、情報検索のデータベースで確認できます。
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/
あとがき
今週も最後まで、お付き合いいただき有難うございました。

毎日、蒸し暑い日が続きますので、体調にはご自愛ください。

さて、今週は、情報量少なめです。
特に、機能性表示食品の届出公表は2品目と、先週の45品目から比べると20分の1となっています。
そろそろ、国会も終わりに近づき、薬機法改正法案が今国会で通過するか否かのギリギリのところになってきました。会期延長が無ければ、来週には結論が出ます。
国会が終われば、すぐに参院選モードに突入することでしょう。

では、素敵な週末を。 (KC)



平成30年4月1日 第1号発行