薬剤師のための健康食品情報第191号
平成30年4月1日 第1号発行
>>> バックナンバー 一覧 <<<
スポンサーリンク |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
行政からの通知、取り締まり等 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
先週の行政の動き (11月28日~12月4日) 11月29日 インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に 対する要請について(令和3年7月~9月) 消費者庁では、令和3年7月から9月までの期間、インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視を実施しました。 この結果、インターネットにおいて健康食品等を販売している 228 事業者による229 商品の表示について、健康増進法第 65 条第1項の規定に違反するおそれのある文言等があった。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
健康食品の健康被害情報(11/28~12/4) 国立健康栄養研究所HPより (外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起、米国FDA/FTCの新型コロナウイルス対策に関連した虚偽宣伝に関する注意喚起は、掲載していません) 12月3日 カナダ保健省がシアン中毒を生じるおそれがある製品の自主回収情報を公表 ■注意喚起および勧告内容 2021年11月26日および29日、カナダ保健省 (Health Canada) がシアン中毒を生じるおそれがあるアプリコット製品2製品の自主回収情報を公表。 One TangブランドのBitter Apricot Kernel(180 g)、Sweet Apricot Kernel(180 g) ■解説 カナダ国内で販売されていた当該製品には多量のアミグダリンが含まれていることが判明したため、当該バッチを対象に業者 (Sungiven Foods Canada Inc.) による自主回収が実施されている。カナダ保健省は当該製品を摂取しないように勧告。アプリコットの種子 (アプリコットカーネル) に含まれるアミグダリンは、体内でシアン化物を産生するため、多量に摂取するとシアン中毒を生じるおそれがある。現在のところ、当該製品との関連が疑われる健康被害については不明。 素材情報より 「イソフラボン」安全性:危険情報 ・54歳男性 (日本) が、減量目的に炭水化物制限とともに豆乳1.2 L/日を約3年間摂取していたところ、筋力低下、発汗、倦怠感、勃起不全を生じて受診。LH、遊離テストステロン低値、女性化乳房を認め、続発性性腺機能低下症が疑われたが、摂取中止により性腺機能は改善した。4者負荷試験と病歴から豆乳に含まれるイソフラボンの過剰摂取との関連が疑われた。 日本内分泌学会雑誌. 2020;96(1):323. |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
①シーフード摂取、水銀曝露と死亡リスクとの関連 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シーフード摂取、水銀曝露と死亡リスクとの関連 シーフードの摂取と血中水銀レベルは成人の死亡リスクに関連しないかもしれない、という米国テネシー大学などからの研究報告。 研究チームは、米国成人17,294名を対象とした前向きコホート研究のデータを解析した。米国国民健康・栄養調査(NHANES)2003年から2012年のサイクルの20歳以上の参加者が含まれ、2015年12月31日までの死亡記録が追跡調査された。 解析の結果、シーフード摂取量の1日当たり1オンス(28.3g)の増加は、全死因による死亡および心血管系疾患関連の死亡との間に関連が見られなかったと報告した。さらに、血中水銀レベルは、全死因および心血管系疾患関連の死亡と関連が見られなかったという。 https://jamanetwork.com/journals/ jamanetworkopen/fullarticle/2786679?utm_ source=For_The_Media&utm_medium=referral &utm_campaign=ftm_links&utm_term=112921 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
②栄養強化した粉ミルクは、将来の学業成績を上げるか? |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
栄養強化した粉ミルクは、将来の学業成績を上げるか? 普通の粉ミルクを飲んで育った子と、脳の発達に良いとされる栄養素などを添加した粉ミルク7種のいずれかを飲んで育った子を比較したところ、思春期時点での学業成績に明確な差はみられなかったという。研究者は、認知能力向上を目的とした栄養素添加は不要なのではとしている。英・ロンドン大学グレート・オルモンド・ストリート小児健康研究所の研究。 母乳育児は乳児の栄養面で最適ではあるものの、生後6週間を超えると母乳育児率は多くの国で低くなっている。代わりに、乳児用調製粉乳(粉ミルク)が、母乳育児を補完または置き換えるために広く使用されており、世界中の6か月未満の乳児の60%以上が摂取している。 粉ミルクへの栄養素添加によって認知発達が促進されることが示唆されているが、長期的な利点が得られるという証拠はまだ決定的ではない。 そこで研究グループは、数種類の粉ミルクごとに、摂取していた赤ちゃんが成長後の、学業成績の違いを比較することにした。 具体的には、1993年8月から2001年10月の間に英国の5つの病院で1,763人の青年を対象に実施された、栄養素を添加された粉ミルク7種のランダム化試験の結果を分析した。 各試験を、添加されていた栄養成分ごとにみると、脳の発達に関与する多くの母乳成分の1つである長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)を用いたものが2件、鉄を用いたものが1件、主要栄養素を増量したものが2件、認知に関連するとは考えられていない、β位結合パルミチン酸またはヌクレオチドが添加されたもの2件であった。 これらのデータを学校の記録と紐づけし、11歳と16歳時点での数学と国語の国家必須試験(GCSE)のスコアにどう影響したかを調べた。 その結果、いずれの粉ミルクを摂取していても、16歳での数学の試験結果に普通の粉ミルクを摂取していた子との相違は見られなかったが、LCPUFA添加の粉ミルクを摂取していた子供のみ、11歳時点での国語・数学の両方でスコアが低くなっていた。 https://www.bmj.com/content/375/ bmj-2021-065805 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
③抗炎症食は認知機能の健康に最善の策? |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
抗炎症食は認知機能の健康に最善の策? 抗炎症性の食品が豊富な食事をしている高齢者は認知症になりにくいかもしれない、というギリシャ・アテネ大学からの研究報告。 研究チームは、認知症のない平均年齢73歳のギリシャ人1,059名を対象に食物摂取頻度調査を行い、前月に食べた食品の炎症スコア(体内炎症を促進する可能性の高さを点数にしたもの)を算出した。その後平均3年間の追跡調査で、62名(6%)が認知症と診断された。 年齢、性別、学歴などの因子の影響を調整(排除)して解析した結果、食事の炎症スコアが1ポイント増加するごとに、認知症の発症リスクが21%高まることが明らかになったという。 https://n.neurology.org/content/early/ 2021/11/10/WNL.0000000000012973 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
先週の健康・健康食品関連情報(11月28日~12月4日) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ケルセチンは筋小胞体カルシウムポンプ活性化により心筋弛緩を促進し、糖尿病で生じる心筋弛緩機能障害を改善する (東邦大) https://www.toho-u.ac.jp/press/ 2021_index/20211202-1174.html ケルセチンが筋小胞体カルシウムポンプの活性化により心筋弛緩を促進し、糖尿病で生じる心筋弛緩機能障害に対して改善作用を示すことを明らかにしました。 宇宙飛行は生物の抗酸化能を低下させる 宇宙で健康的に活動するための重要な手掛かりに (筑波大) https://www.tsukuba.ac.jp/journal/ medicine-health/20211129140000.html 宇宙に行ったマウスの肝臓内では、システイン、エルゴチオネイン、グルタチオンなど還元的な硫黄化合物の量が減少していることが分かりました。これらの還元的な硫黄化合物は生体内の抗酸化に貢献していることが知られています。宇宙飛行中に発生した、体に対する酸化的なダメージを緩和するために消費され、その存在量が減ってしまったと考えられます。 (KC 宇宙で生活する時代になったら、抗酸化サプリメントは必須かもしれませんね。) ゼオライトが肥満モデルマウスの高血糖・高脂血症・肥満を改善することを発見 (岐阜大) https://www.gifu-u.ac.jp/about/ publication/press/20211124.pdf ゼオライトの有効性は、食物繊維がもつ消化管吸収の調節作用に似ていると考えられます。今後、高脂肪食に伴う高血糖・高脂血症・肥満を予防することを目的とした機能性食品への応用が期待されます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特定保健用食品
特定保健用食品 11月29日 1件 許可 商品名: ウォーターアップル風味 申請者:株式会社明治 関与する成分:◆アラニン ◆アルギニン ◆フェニルアラニン 許可を受けた表示内容:体脂肪を減らすには、適度な運動が効果的です。本品に含まれる3種のアミノ酸から構成されるアラニン・アルギニン・フェニルアラニン混合物は、10分程度の歩行などの身体活動との併用による脂肪の分解と消費する力をより高める働きがあるので、脂肪の代謝を上げ、体脂肪をさらに減らすことを助けます。本品はBMIが高めの方に適しています。 1日摂取目安量:1本(500ml) 区分:再許可特保 許可番号:1832 特別用途食品 11月30日 2件 許可 区分:腎臓病用組合せ食品 商品名:いきいき御膳α(アルファ) 申請者:ヘルシーフード株式会社 許可を受けた表示内容:本品は、腎臓病の食事療法を実践及び継続するのに適した食品です。 許可番号:第2021012号 区分:とろみ調整用食品 商品名:ネオハイトロミールⅢ(スリー) 申請者:株式会社フードケア 許可を受けた表示内容:本品は、えん下を容易にし、誤えんを防ぐことを目的としたとろみ調整用食品です。 許可番号:第2021013号 (KC 先週、腎臓病用組合せ食品が、近々に許可になりますとお話しいたしましたが、やはりすぐに許可となりましたね。) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
※【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。 ※効率的に使用できるよう、外部サイトへのリンクを貼りました。 会社名のリンク::機能性表示食品まとめ一覧 ■制度開始から届出た商品を確認できます。 商品名のリンク:機能性表示食品リストとエビデンス ■エビデンス詳細・製造工場・摂取時の注意等を確認できます。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今週の撤回情報 2021年11月22日付け G195 「UC-Ⅱハードカプセル」 カプスゲル・ジャパン株式会社 ・・・・ 非変性Ⅱ型コラーゲン 撤回理由 「カプスゲル・ジャパン株式会社が会社統合による社名変更などの組織変更事項が生じたため」 2021年11月26日付け F905 「カラダ想いメニュー ツナ入りマカロニサラダ」 デリア食品株式会社 ・・・・ DHA・EPA 撤回理由 「パッケージデザインの変更及び配合変更により販売予定がなくなったため(2022年以降に新規届出を提出予定)」 2021年11月29日付け B378 「海と牧場の恵 DHA+EPA(ディーエイチエープラスイーピーエー)ヨーグルト」 株式会社ノーベル ・・・・ EPA・DHA " 撤回理由 「生産終了となるため」 「機能性表示食品届出情報 簡単動画解説」はこちらから YouTube チャンネル名 「機能性表示食品情報」 https://www.youtube.com/channel/ UCz0TQYw99ttqqQCmiKzxVww チャンネル登録をしてご覧いただければ幸いです。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
おはようございます。 ついに、12月です、今年も残りが簡単に数えられるようになりました。 やり残しはたくさんありますが、そろそろ無視しようかと思っている次第です。 先週、腎臓病用組合せ食品が許可になると言いましたが、その通りになりました。 次は、糖尿病用組合せ食品がいつ出るか、待ち遠しいところです。 さて、来年の話をしてももう鬼に笑われないとは思いますが、健康食品業界にとって、色々な話題が出てきそうな予感を持っています。また公表できるようになったら、少しずつオープンにしていきたいと思います。 では、素敵な12月をエンジョイください。(KC) |
平成30年4月1日 第1号発行