薬剤師のための健康食品情報第195号
平成30年4月1日 第1号発行
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行政からの通知、取り締まり等 |
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先週の行政の動き (12月26日~1月8日) 12月27日 日本食品標準成分表2020年版(八訂)の正誤表の公表 (文科省) 正誤表(データ) https://www.mext.go.jp/content/20201225 -mxt_kagsei-mext_01110_101.xlsx 「くらしの健康」12月号 (東京都) 東京都健康安全研究センター発行の「くらしの健康」12月号で、「健康食品を安全に利用するためのポイント! 」の特集が組まれています。 http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/ archive/issue/kouhoushi/health/ KURASHINOKENNKOU56.pdf 1月4日 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令など (消費者庁) 令和3年6月の特商法改正の施行期日が、4年6月1日に正式に決定しました。 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(新旧対照表) https://www.caa.go.jp/policies/policy/ consumer_transaction/amendment/2021/ assets/consumer_transaction_cms 201_220104_03.pdf 特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正 (新旧対照表) https://www.caa.go.jp/policies/policy/ consumer_transaction/amendment/2021/ assets/consumer_transaction_cms201_ 220104_05.pdf 特定商取引に関する法律に基づく消費者庁長官の処分に係る審査基準等について https://www.caa.go.jp/policies/policy/ consumer_transaction/amendment/2021/assets/ consumer_transaction_cms201_220104_08.pdf |
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健康食品の健康被害情報(12/26~1/8) 国立健康栄養研究所HPより (外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起、米国FDA/FTCの新型コロナウイルス対策に関連した虚偽宣伝に関する注意喚起は、掲載していません) 1月7日 米国FDAが医薬品成分 (ジクロフェナク) を含む製品に注意喚起 ■注意喚起および勧告内容 2022年1月5日、米国FDA (U.S. Food and Drug Administration) が医薬品成分 (ジクロフェナク) を含む製品「Artri Ajo King」に注意喚起。米国FDAは当該製品を購入・使用しないように勧告。 ■解説 これは、米国FDAによる調査で判明した事例。関節痛や関節炎に対する効果をうたって、ウェブサイトや店舗で販売されていた当該製品を分析したところ、医薬品成分であるジクロフェナクが検出された。現在のところ、当該製品との因果関係が疑われる健康被害については不明。 https://www.fda.gov/drugs/medication- health-fraud/public-notification-artri- ajo-king-contains-hidden-drug-ingredient 1月7日 シンガポールHSAが医薬品成分 (デキサメタゾンなど) を含む製品に注意喚起 ■注意喚起および勧告内容 2021年12月30日、シンガポールHSA (Health Science Authority) が医薬品成分 (デキサメタゾンなど) を含む5製品に注意喚起。当該製品との因果関係が疑われる健康被害が3件報告されている。 製品名:X-Gout 混入していた医薬品成分:デキサメタゾン、インドメタシン、パラセタモール、ピロキシカム 製品名:dcr Natural Herbs Honey Enzyme 混入していた医薬品成分:パラセタモール 製品名:KMS2 Dark Chocolate Mocha Botanical Beverage 混入していた医薬品成分:スルファメトキシジアジン、テトラカイン 製品名:Speedy Slim Capsules (Black) 混入していた医薬品成分:シブトラミン 製品名:Speedy Slim Capsules (Gold) 混入していた医薬品成分:シブトラミン ■解説 ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて販売されていた当該製品との関連が疑われる健康被害の報告と消費者からの通報を受け、シンガポールHSAが検査したところ、医薬品成分が検出された。 ・40代女性が、インターネットで販売されていた「X-Gout」を友人の勧めで膝痛の緩和を目的に1年間摂取したところ、急激な体重増加と息切れ、下肢の浮腫を生じ、糖尿病と診断された。当該製品を検査したところ、デキサメタゾンなどの医薬品成分が検出されたため、ステロイドの副作用によるクッシング症候群と診断された。 ・40代男性が、「dcr Natural Herbs Honey Enzyme」を6か月摂取したところ、クッシング症候群を発症した。摂取を中止したところ、食欲不振、活力低下、発疹などの離脱症状を生じた。当該製品のサンプルからパラセタモールが検出されたが、男性の症状から長期摂取による副作用が考えられたため、当該製品の他のバッチにおける他の医薬品成分の混入が疑われた。 ・1名 (性、年齢不明) が、脂肪燃焼と代謝促進をうたって販売されていた「KMS2 Dark Chocolate Mocha Botanical Beverage」を数日間摂取したところ、心拍数上昇、のどと口内の渇きなどを生じた。 また、著しい体重減少効果をうたってソーシャルメディアで販売されていた「Speedy Slim Capsules (Black)」および「Speedy Slim Capsules (Gold)」に関する通報を受けて検査したところ、シブトラミンが検出されたため、シンガポールHSAは当該製品を押収した。 シンガポールHSAは、消費者に対し、「KMS2 Dark Chocolate Mocha Botanical Beverage」、「Speedy Slim Capsules (Black)」、「Speedy Slim Capsules (Gold)」を使用している場合はすぐに使用を中止するように、また、ステロイドを含む2製品を使用している場合は、離脱症状を防ぐため自己判断で中止せず医療機関を受診するように勧告し、大げさに有効性をうたう健康製品を使用しないよう注意を促している。 https://www.hsa.gov.sg/announcements/ press-release/hsa-alert-five-products- detected-to-contain-potent-adulterants- three-consumers-experienced-serious- adverse-effects-including-diabetes コラム「専門家に聞きました」 【第5回】 「健康食品を利用する前に確認してほしい3つのポイント」 が公開されました。 https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/ detail4846.html 健康食品を利用する前に確認してほしい3つのポイント 島根大学医学部附属病院臨床研究センター 教授 大野 智 先生 1.はじめに 2.健康被害 3.経済被害 4.機会損失 |
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①海産性オメガ-3系脂肪酸はうつ病の予防に役立たない? |
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海産性オメガ-3系脂肪酸はうつ病の予防に役立たない? 海産性オメガ-3系脂肪酸サプリメントの使用はうつ病の予防に役立たないようだ、という米国マサチューセッツ総合病院などからの研究報告。 高リスク患者のうつ病の再発を減らすためにオメガ3サプリメントを推奨する専門家もいるが、一般集団のうつ病を予防するためのこれらのサプリメントの使用に関連するガイドラインは存在しない。またこのトピックに関する研究は、一致しない結果を生み出している。 研究チームは、VITAL-DEP研究の参加者18,353名(50歳以上)を対象に、ランダムに2群に分け、介入群9,171名にはビタミンD3 (2000 IU/d), 海産性オメガ-3系脂肪酸 (EPA465 mgとDHA375 を含む1 g/d 魚油)、対照群9,182名にはプラセボ(偽薬)を平均5.3年間にわたって摂取してもらった。 研究チームは、研究の過程でうつ病を予防したり気分を高めたりするためのオメガ3サプリメントの正味の利点は観察されなかったという。任意の時点で臨床的うつ病を発症するリスクと、フォローアップ期間中の全体的な気分スコアにも同様の注意が払われた。うつ病のリスクのわずかな増加は統計的有意差の範囲内だったが、オケレケ准教授は「約5-7年間の追跡期間中、気分の全体的な経過に対するオメガ3の有害または有益な効果はありませんでした」と述べている。 https://jamanetwork.com/journals/jama/ article-abstract/2787320 |
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②がん患者とがんを超えて生きる個人の健康食品使用 |
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がん患者とがんを超えて生きる個人の健康食品使用 がんを患っている、または、がんを超えて生活している多くの人が、健康食品を使用しており、多くの場合、その製品が、がんの再発リスクを減らすと信じている、という英国ユニバーシティカレッジロンドンからの研究報告。 がんの予防ガイドラインにおいて、健康的な食事と身体活動は推奨されるが、健康食品は推奨されていない。関連する臨床試験では、製品に関連する利点が一般に示されておらず、場合によっては安全性への懸念が示唆されているためである。 がん生存者の健康食品使用に関連する要因を調査するために、ラナ・コンウェイ博士ら研究チームは、英国で乳がん、前立腺がん、または大腸がんと診断された1,049人の成人を調査した。参加者は、がん研究UKが資金提供した"Advancing Survival Cancer Outcomes Trial"に登録され、健康食品に関する質問を含む、郵送による調査と電話またはオンラインの食事分析を完了した。 主な調査結果: ●参加者の40%が健康食品を摂取した。 ●参加者の19%は、健康食品ががんの再発のリスクを減らすことができると信じていた。 ●女性、1日5サービングの果物と野菜の推奨事項を満たす参加者、および健康食品ががん再発のリスクを減らすために重要であると信じている参加者は、健康食品を使用する可能性が高かった。 ●肥満の参加者は、健康食品を使用する可能性が低かった。 ●魚油は、参加者の13%が摂取し、最も一般的に使用されている健康食品であった。 ●ビタミンDを含むまたは含まないカルシウムは、乳がん患者が最も一般的に使用する健康食品であり、15%が摂取した。 https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/ doi/10.1002/cncr.34055 (KC URLより、フルペーパー読めます。3連休ですので、時間がある方は読んでみてはいかがですか?) |
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先週の健康・健康食品関連情報(12月26日~1月8日) |
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コーヒーと前立腺がんの関連 (国立がん研究センター) https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/ 8832.html コーヒーをほとんど飲まないグループを基準として比較したところ、コーヒー摂取量と前立腺がんリスクとの間に、統計学的に有意な関連はみられませんでした。この傾向は、限局がん、進行がんで分けても同じでした。さらに、検診発見がんに限定した場合、研究開始から3年以内の前立腺がん罹患例を除いた場合や、喫煙・飲酒習慣別に分けた場合でも同様の結果でした。 (KC 残念ながら、コーヒーの前立腺がんの予防効果はないらしい。) 術前化学療法を受ける食道癌患者におけるシンバイオティクス摂取の有効性を確認 シンバイオティクス摂取によるバクテリアルトランスロケーションおよび重度胃腸障害の抑制 (名古屋大) https://www.med.nagoya-u.ac.jp/ medical_J/research/pdf/ Cli_Nut_20211012.pdf シンバイオティクスを摂取しなかった患者では、血液中および腸間膜リンパ節から腸内細菌が検出され、BT の発生が確認されましたが、シンバイオティクスを摂取した患者では菌はほとんど検出されず、BT が抑制されていました。さらに、シンバイオティクス摂取により、重度の胃腸障害の軽減や腸内環境の改善も確認されました。 アルツハイマー病予防点鼻薬 既に安全性が確認された2つの有効成分により実現へ (大阪市立大) https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/ 2021/211224 認知機能改善の効果はあるが、肝障害の副作用もあったリファンピシン(既存薬)を経鼻投与にすることで脳への移行性が高まり、より安全に投与が可能に。 リファンピシンとレスベラトロール(同じく既存薬)を併用して経鼻投与することで、リファンピシン単剤よりも安全性、認知機能改善作用が向上。 (KC 予防効果があるなら、治験に喜んで参加したい。) 動物性、植物性、総たんぱく質摂取量と肺炎死亡リスクの関連 (国立がん研究センター) https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/ 8865.html 男性では総たんぱく質の摂取割合と肺炎死亡リスクには統計学的有意な関連はみられませんでしたが、女性ではエネルギーに対する総たんぱく質摂取の割合が高いほど、肺炎リスクが低い結果でした。植物性、動物性たんぱく質摂取の割合では、男女ともにいずれも肺炎死亡との間に統計学的に有意な関連はみられませんでした。 「熟成ホップエキス」に毛穴の状態改善効果と皮膚炎症抑制効果を確認 (ファンケル) https://www.fancl.jp/news/pdf/ 20220107_jukuseihoppuekisu.pdf 健常皮膚を有する 17 人に 5%「熟成ホップエキス」配合乳液と「熟成ホップエキス」無配合の乳液を半顔ずつ朝晩の 2 回を 4 週間連続で使用し、使用前後の皮膚状態を測定しました。 その結果、「熟成ホップエキス」配合乳液の使用面は使用前後の比較で毛穴体積が縮小したのに対し、 無配合乳液の使用面には縮小が見られませんでした。このことから、「熟成ホップエキス」を配合することで毛穴の体積を小さくし、毛穴の目立ちを抑制することが期待されます。 柿ポリフェノールによる血管弛緩作用と血管収縮抑制作用を証明 (奈良県立医科大) https://www.naramed-u.ac.jp/university/ kenkyu-sangakukan/oshirase/r3nendo/ documents/kakiporihuleno-ru.pdf 奈良県産の柿果実から抽出した柿タンニン(柿渋)と柿葉に含まれるポリフェノールが、強力な血管弛緩作用と血管収縮抑制作用を持つことを、ラットから摘出した血管において実証しました。これらの作用は、血管内腔の表面を覆う内皮細胞を取り除いても存続していたことから、健全な血管のみならず動脈硬化症や高血圧症などにより内皮細胞が障害された血管においても血管弛緩作用および収縮抑制作用を示し、降圧効果を発揮できる可能性があります。 (KC まだ動物試験の結果ですが、今後機能性表示食品の成分となるかもしれませんね。それにしても、奈良県産に限定しているところが郷土愛豊かでいいですね。) |
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※【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。 ※効率的に使用できるよう、外部サイトへのリンクを貼りました。 会社名のリンク::機能性表示食品まとめ一覧 ■制度開始から届出た商品を確認できます。 商品名のリンク:機能性表示食品リストとエビデンス ■エビデンス詳細・製造工場・摂取時の注意等を確認できます。 |
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注目の届出 |
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新年明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い致します。 年末年始のお休みはいかがでしたか? お忙しい皆さんのこと、なかなか続けての休暇が取れない1年だったと思います。 少しでも、心身ともにリラックスできたことを願っています。 さて、木曜日は関東地方でも大雪となり、昨日の朝は、通勤の際に、随分の滑って転んでいる方を見ました。 私は、雪国に育ちなので、雪や多少の路面凍結では転ぶようなことはありませんが、数年に一度の雪道やアイスバーンの経験の方には、普通に歩けというのが、無理な相談かと思います。 今年も1年、少しずつではありますが、情報をお届けいたしますので、お付き合いいただければ幸いです。 それでは、素敵な1年になりますように。 (KC) |
平成30年4月1日 第1号発行