2019年8月18日日曜日

薬剤師さんのための健康食品情報第73号:(2019/8/11~2019/8/17)

平成30年4月1日 第1号発行
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ご案内

私がお手伝いしている日本メディカルハーブ協会の「学術フォーラム」の開催案内をのせておきます。

日本メディカルハーブ協会 学術フォーラム

日時 929(日)

会場 東京農業大学 世田谷キャンパス

テーマ 『ハーブの機能性と相互作用~ゲノミクスとデータベース』

講演
「次世代機能性食品の開発と未病マーカー」

東京大学大学院 特任教授 阿部 啓子 先生

「ハーブと医薬品の相互作用の基礎と食品-医薬品相互作用データベース」

城西大学薬学部 教授 須永 克佳 先生

申し込み等詳細は
https://www.medicalherb.or.jp/items/
学術フォーラム%ef%bc%83366

行政からの通知、取り締まり等(8月10日~8月17日)
813日 食品表示の全体像に関する報告書の公表 (消費者委員会)

89日、消費者委員会 食品表示部会から、「食品表示の全体像に関する報告書~消費者に、より活用される食品表示とするための今後の方向性~」が公表されました。

報告書
https://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki
/syokuhinhyouji/doc/201908_houkoku.pdf


8月15日付けにて、消費者委員会から、提言として出されています。
https://www.cao.go.jp/consumer/content/
20190815_teigen.pdf


813日 製造所固有記号制度の運用に係る周知・普及について (消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/
food_labeling/information/pdf/
food_labeling_information_190813_0001.pdf


消費者庁より、813日付けにて、食品表示法に基づく食品表示基準の経過措置期間が令和2年3月 31 日をもって終了となるので、経過措置期間終了後に製造される食品は新制度に基づく表示を付す必要があるので、製造所固有記号を使っている場合は、新たな制度に移管する旨の通知が出されました。
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健康食品の健康被害情報(8/11~8/17) 国立健康栄養研究所HPより
(外国のバイアグラ関係成分含有のサプリメントの注意喚起は掲載していません)

813日 カナダ保健省が未承認製品に注意喚起

■注意喚起および勧告内容
2019812日、カナダ保健省 (Health Canada) が店舗から押収した未承認の6製品に対する注意喚起情報を公表。カナダ保健省は当該製品を使用しないように、また、使用して体調に不安を感じている場合は医療機関を受診するように勧告。

製品名:関連成分

Alien Power Platinum 11000:タダラフィル

Jaguar 25000:タダラフィル

Lucky Lady:タダラフィル

Alpha Man Extreme 3000:シルデナフィル

Rhino 88 Platinum 8000:シルデナフィル

Kangaroo Ultra 3000:フリバンセリン

■解説
性機能改善を標榜して店舗で販売されていた当該製品は、製品の分析により医薬品成分が検出されたため、カナダ保健省により押収された。現在のところ、当該製品との因果関係が疑われる健康被害については不明。

なお、当該製品と類似した製品において、過去にも医薬品成分の混入や表示のため注意喚起が出されている。

https://healthycanadians.gc.ca/
recall-alert-rappel-avis/hc-sc/
2019/70685a-eng.php


(KC フリバンセリンは、女性用バイアグラと言われているものですね。)

814日 シンガポールHSAが医薬品成分 (シブトラミンなど) を含む製品に注意喚起


■注意喚起および勧告内容

2019813日、シンガポールHSA (Health Science Authority) が医薬品成分 (シブトラミンなど) を含む3製品に注意喚起。当該製品との因果関係が疑われる健康被害が報告されている。

製品名検出された医薬品成分
Skinny Lolita:シブトラミン

Xtreme Candy:N-デスメチルタダラフィル

こげ茶色の粉が入った透明カプセル製品(製品ラベルなし):アモキシシリン、クロルフェニラミン、ジクロフェナク、デキサメタゾン、プレドニゾロンシルデナフィル

■解説
シンガポールとマレーシアを拠点とするインターネットサイトでハーブ製品として販売されていた「Skinny Lolita」と「Xtreme Candy」から、医薬品成分が検出された。現在のところ、当該製品との関連が疑われる健康被害については不明。

また、シンガポールのレッドヒルマーケットで販売されていた透明カプセル状の製品は、製品ラベルがなく、原材料に“辣木籽”、“冬虫夏草”、“田七花”を含み100%天然、あらゆる疾患への効能を謳うリーフレットが付属されていた。当該製品を34ヶ月間摂取した50代女性がステロイド誘発クッシング症候群を発症した健康被害が報告され、検査の結果、医薬品成分が検出された。

シンガポールHASは、ラベルなし製品を摂取した可能性がある場合や、他の2製品を使用して体調に不安を感じている場合は、すぐに医療機関を受診するように勧告。「100%ハーブ」「オールナチュラル」などの宣伝は製品が安全で良質であることを意味するわけではない点を注意喚起している。

(KC 製品名の無い商品に入っている成分、すごいですね。何を目的としたサプリメントなのでしょうね。)

ちなみに、商品写真は、こちらです。

いわゆる健康食品との因果関係が疑われる健康被害 (症例報告) (2016.11)

(日本人症例のみ)  全症例とも再掲です。

・再発性ホジキンリンパ腫、糖尿病、リウマチ性関節炎のため、メロキシカム、サラゾスルファピリジン、ファモチジン、ベンズブロマロン、アルファカルシドール、プレドニソロン、ロキソプロフェンを服用中の52歳男性 (日本) が、ゲルソン療法のジュース (ニンジン45 kg/日、リンゴ200300 g/日、推定カリウム摂取量16,000 mg/日以上)を12日間摂取したところ、重度の高カリウム血症を発症し、摂取中止と加療により治癒した。

Clin Nutr. 2005 Oct;24(5):864-5.

・複数のサプリメントの摂取との関連が疑われる不正出血が2例報告されている。個々の詳細は以下のとおり。

1) 大腸がんの既往歴がある89歳女性 (日本) が、健康維持のためサプリメントの摂取を開始し、8年間で徐々に摂取量と種類を増やして最終的に32種類を摂取していたところ (摂取量の詳細不明) 、乳房緊満、乳頭色素沈着、不正出血、子宮内膜肥厚を生じ、摂取中止と加療により改善した。

2) 79歳女性 (日本) が、健康維持のため13種類のサプリメントを数年間、これに加えてプエラリア・ミリフィカを含むサプリメントを半年間摂取していたところ、乳頭色素沈着、不正出血、子宮内膜肥厚を生じ、摂取中止と加療により改善した。

女性心身医学2017 22(2) 170-175

50代女性 (日本) が、倦怠感改善を目的に3種類の健康食品 (スピルリナ、霊芝、麹菌、玄米、大豆、貝カルシウムなどを含む2製品+アセロラ果汁、でんぷん加水分解物、オリゴ糖、レモン果汁を含む1製品) を約10年間使用していたところ、発熱と倦怠感が約6ヶ月間持続し、検査で抗核抗体陽性、肝機能マーカー (ALP、γ-GTP) の上昇が認められた。スピルリナ等を含む2製品を摂取目安量の67倍に増量して5ヶ月間摂取を継続したところ、肝機能が増悪し、肝生検で胆汁うっ滞が確認され、摂取中止と加療により改善した。薬剤リンパ球刺激試験 (DLST) 3製品すべてに対して陽性を示し、薬物性肝障害と診断された。

New Diet Therapy 2017 32(4) 3-12

40代男性 (日本) が、朝方にカフェインサプリメント1錠を摂取するはずが誤って4 (800 mg) を一度に摂取し、約30分後より動悸、吐き気、呼吸困難を生じて医療機関を受診。補液を行ったが改善せず、同日夕方に再診。呼吸性アルカローシス、テタニー症状、低カリウム血症、低ナトリウム血症、洞性頻脈、血中テオフィリン濃度上昇を認め、急性カフェイン中毒と診断。加療により改善した。

日救急医会関東誌 2015 36(2) 275-8

69歳女性 (日本) が、輸入サプリメント「スーパーマルチビタミンミネラル」、「フィッシュオイル」を1年間、グルコサミン、ヒアルロン酸配合サプリメント「ジョイントスーサー」を2ヶ月間摂取していたところ、生物咬傷による受診をきっかけに肝酵素上昇、眼球結膜黄染、肝、腎機能障害、炎症所見が認められた。薬剤リンパ球刺激試験で「ジョイントスーサー」、「スーパーマルチビタミンミネラル」に陽性を示し、これらを原因とする薬物性肝障害と診断、加療によって回復した。

日本救命医療学会雑誌 2015 29 69-74
患者さんとの会話のための話題提供

LINK de DIETより
母親の肥満は、小児がんに関連する?!

肥満の母親から産まれた子供は、幼児期にがんを発症する可能性が高いようだ、というピッツバーグ大学公衆衛生大学院等からの報告。この関連は、新生児の体格、出産年齢など既知のリスク因子で調整後も認められたという。

研究では、2003年から2016年の間、ペンシルベニア州で記録された約200万の出生記録と約3,000のがん登録記録を通じて検討した。

結果は、重度の肥満(BMI40以上)の母親から産まれた子供は、5歳までに白血病を発症するリスクが57%高かったという。母親の体重、身長も、それぞれ、子供の白血病リスク増加と関連していた。さらに分析したところ、体格の大きな女性が、より大きな赤ちゃんを出産していたというだけではなく、体重高値の女性は、高齢である傾向(小児がんの既知のリスク因子)が認められた。さらに、母親の体格サイズは、独立して、子供のリスクに寄与していたという。

https://academic.oup.com/aje/
article-abstract/188/8/1503/
5492130?redirectedFrom=fulltext


(KC  BMI40以上というと、身長158cmの女性であれば100kg以上ということですね。日本では、中々見かけないかと思います。)
卵の適度な摂取で認知症リスク低下か

ホスファチジルコリンの豊富な食事を摂ることが、認知症のリスク低下と関連していることが初めて明らかになった。今回の調査では、ホスファチジルコリンの主な供給源は卵と肉だったという。東フィンランド大学の研究。

ホスファチジルコリンを構成する成分のひとつ、コリンは必須栄養素とされ、多様な食品中に様々な形で含まれている。

コリンは、神経伝達物質であるアセチルコリンの形成にも必要だ。以前の研究では、コリン摂取と認知処理の関連が指摘され、適切なコリン摂取が認知機能低下とアルツハイマー病の予防効果のある可能性が示されている。実際、米国でコリンは、初期アルツハイマーの改善を期待して栄養ドリンクに配合されるなどしている。

この研究は、「クオピオ虚血性心疾患危険因子研究(KIHD)」のデータを用いて行った。KIHDは、研究開始時点(1980年代中~後半)に42-60歳であったフィンランド人男性2500人あまりを対象としている。食習慣・生活習慣と健康状態の把握を行い、平均22年間フォローアップした後、被験者の受診記録、死因の記録、および保険調剤記録のデータと統合した。研究開始から4年後には、約500人の男性が記憶と認知処理を測定するテストを行っている。なお、研究機関中に認知症を発症したのは337人だった。

結果、被験者の総コリン摂取量は平均431mg/日、ホスファチジルコリンは188mg/日だった。被験者のうち食事から摂取するホスファチジルコリンの量が下位25%の群と比較して、上位25%の群の認知症リスクは28%低いことが示された。一方で総コリン摂取量は認知症の発症リスクとの関連はみられなかった。また、総コリン摂取量とホスファチジルコリン摂取量が上位25%の群では、記憶力と言語能力のテストでもポイントが高かったという。
https://academic.oup.com/ajcn/
advance-article-abstract/doi/10.1093/
ajcn/nqz148/
5540729?redirectedFrom=fulltext


(KC  卵は、いったい何個食べれば、健康に良いのですかね? 11個以下と言われていた時代も長かったですが、今は、いくつ食べてもいいともいわれています。ちなみに、全卵100g当たりホスファチジルコリンの含有量は240mgだそうです。)
手足の筋肉が少ない高齢者は死亡リスクが高い!?

手足の筋肉量が少ない高齢者は、そうでない高齢者に比べて、死亡リスクが大きく高まるようだ、というブラジル・サンパウロ大学からの報告。

研究チームは、65歳以上の男性323名、女性516名を約4年にわたって追跡調査した。筋肉量は、DXAを用いて測定された。対象者の約20%が低筋肉量であった。

追跡調査期間中に132名が死亡した。そのうち43.2%は心血管系疾患によるものだった。

解析の結果、手足の筋肉量が低い女性は、全死因による死亡リスクが63倍近く高く男性でも11.4倍高いことがわかったという。
https://asbmr.onlinelibrary.wiley.com/
doi/abs/10.1002/jbmr.3710


(KC  筋肉量定価は、フェレールだけでなく、寿命にも影響してくるようです。)
甘い飲み物とがんリスク

糖分の入った飲み物の摂取量は、がんリスクに比例する可能性が明らかになった。砂糖を入れた飲料はもちろんのこと、100%果汁飲料も同様とのことだ。仏・パリ13大学の研究。

糖分入り飲料の制限で、がんにかかる人が減る?-糖分入り飲料の摂取量が多いほど、がんリスクが高まる可能性が示された

この数十年間で、糖分入り飲料の摂取は世界中で増えており、肥満リスクとの関係は明らかである。肥満は多種のがんの強いリスク因子であると考えられているが、糖分入り飲料とがんリスクの関係についての研究はいまだ限られている。

そこで研究者らは、糖分入り飲料(加糖飲料と100%果汁飲料)、人工甘味料入り(ダイエット)飲料と、がんリスク(全がん、乳がん、前立腺がん、大腸がん)との関係について調べた。対象者は、フランスの「NutriNet-Sante」コホート研究に参加していた健康な成人約101千人で、参加開始時の平均年齢は42歳だった。
対象者にはオンライン食事調査票への記入を複数回行ってもらい、3300もの飲食物の習慣的摂取量を把握、最大9年間の追跡を行った。がんの罹患状況については、自己申告されたものを医療記録で確認し、健康保険の全国データベースとリンクした。また、年齢、性別、学歴、がんの家族歴、喫煙状況、身体活動レベルなど、がんに対するいくつかの既知の危険因子を考慮に入れてデータを解析した。

その結果、糖分入り飲料の摂取量が1日あたり100ml増えるごとに、全がんリスクが18%、乳がんリスクが22%増加することが示された。糖分入り飲料の内訳をみても、加糖飲料と100%果汁飲料のいずれもが全がんリスク上昇と関連していた。一方で、前立腺がんと大腸がんとの関連はみられなかったのだが、今回の対象者では全体的に、これらの部位のがんの発症数は少なかったという。

対照的に、人工甘味料入り飲料はいずれのがんとの関連性もみられなかった。ただし、対象者の人工甘味料入り飲料の摂取量は比較的少なかったことから、この結果の解釈には注意が必要だ、と研究者は警告している。

今回の結果の要因として考えられるのは、糖分入り飲料に含まれる糖分が、内臓脂肪の蓄積や血糖値、炎症マーカーに影響したことだ。これらはみな、がんリスクの上昇と関連している。添加物も無縁ではないかもしれない、とのことだ。
https://www.bmj.com/content/366/bmj.l2408


先週の健康・健康食品関連情報(8月11日~8月17日)
行政公表資料より

特になし

大学・研究機関等公表資料より
わが国の脳卒中医療の実像を世界に紹介 疫学、再開通療法、国産薬最新治療、対策基本法など (国立循環器病研究センター)
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/
post_47.html


わが国の脳卒中の疫学(発症頻度など)、病態の特徴、急性再開通療法の現状やこの治療に合わせた医療システムの整備、さらには国産薬にこだわった脳卒中薬物療法の紹介などを、海外の読者が興味深く読めるように工夫して執筆しました。

日本のダウン症候群出生数は、ほぼ横ばいと推定 (国立成育医療研究センター)
https://www.ncchd.go.jp/press/2019/
pr_20190809.pdf


今回の調査で、7 年間(20102016 年)のダウン症候群の出生数は年間 2200 人前後 でほぼ横ばいであり、急速な妊婦の高年齢化の下、出生前診断の普及によっても均衡が保たれていると推察されました。

クロセチンが児童の近視進行を抑制 (慶応大学)
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/
files/2019/8/8/190808-1.pdf


小学生69名に対し、クチナシ由来の色素成分「クロセチン」を投与するランダム化比較試験を施行し、クロセチンが小児の眼軸長伸長、屈折度数の近視化を有意に抑制することを確認しました。

先週のトクホ・機能性表示食品情報(8月11日~8月17日)
特定保健用食品

今週はなし

機能性表示食品届出公表(8月11日~8月17日)
【届出番号】【商品名】【届出者】【届出者】【食品の区分】【機能性関与成分名】【表示しようとする機能性】の順で掲載。
今週は無し

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届出撤回情報
201988日付け

B449 「うす塩フィッシュソーセージ」

丸大食品株式会社 ・・・・γ-アミノ酪酸(ギャバ)

撤回理由 「製造・販売を行っておらず、今後行わないため。」
あとがき
機能性表示食品の届出一覧は、情報検索のデータベースで確認できます。
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/

過去のメールマガジンは、こちらのサイトから閲覧可能です。
http://kc1104.blogspot.com/2018/

今週も最後まで、お付き合いいただき有難うございました。

お盆休みも終わりですね。

台風の影響が、暑い日がまだ続きそうです。ご自愛ください。

今週は、台風10号の話題一色でした。

日本に上陸する前に、こんなにも話題になった台風は今まで負かったような気がするくらい、連日どのテレビ局も、この話題でした。自然の力にはなかなか抵抗できませんが、事前に台風を消滅させるような方法を見つけて欲しいものです。

さて、今週は、夏休みのところが多かったようで、情報が少なめです。
なんと、機能性表示食品の届出公表も「0」ゼロです。

来週は、今週分も合わせて、たくさん公表されるのでしょうか。

それでは、残りの夏休みを思いっきり楽しくお過ごしください。(KC)

平成30年4月1日 第1号発行