2018年7月1日日曜日

薬剤師さんのための健康食品情報(2018/6/24~6/30)

更新:2019年4月21日
薬剤師がぜひ知っておきたい「健康食品」に関する情報 
(2018/6/24~6/30)

平成30年4月1日 第1号発行
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行政からの通知、取り締まり等

626日 保険診療における指導・監査 集団指導用資料の公表 (厚生労働省)

薬局に関する集団資料として下記の物が公表されました。
保険調剤の理解のために【薬局】(平成30年度版)
(説明資料)
(スライド資料)


健康食品の健康被害情報(6/246/30) 国立健康栄養研究所HPより


629日 厚生労働省と東京都が医薬品成分 (シルデナフィルなど) を含む製品に注意喚起
■注意喚起および勧告内容
2018629日、厚生労働省と東京都が医薬品成分 (シルデナフィルなど) を含む5製品  に注意喚起。東京都は当該製品を使用しないように、また、使用して体調に不安を感じている場合は医療機関を受診するように勧告。
製品名(検出された医薬品成分)
Отважный полководец(シルデナフィル)
Black gorilla(シルデナフィル)
澳洲袋鼠精(シルデナフィル)
不倒 HARDBOILED(シルデナフィル、タダラフィル)

■解説
これは東京都による買上調査によって判明した事例。都内店舗で販売されていた当該製品を分析したところ、医薬品成分が検出された。現在のところ、当該製品との関連が疑われる健康被害については報告されていない。なお「Black gorilla」と類似した製品において、過去にも医薬品成分の混入が報告されている。

(KC この手の偽医薬品は、本当になくなりませんね。本当に欲しければ、高いお金を払って危険を冒さなくても、医療機関に行って、薬出してくださいと言えばいいだけなのに、なぜかそういうことにはなりません。)


(健康食品の被害ではありませんが、)
6月29日「サンギナリア」素材情報から
・転移性大腸がんの病歴のある42歳男性(アメリカ)が前腹壁に皮下結節を生じたため、インターネットで購入したサンギナリア軟膏を7日間塗布したところ、潰瘍化した患部から腸内容物が漏出する腸管皮膚瘻を呈した
53歳男性(アメリカ)が、右胸に生じた丘疹にサンギナリア含有クリームを1012日間塗布したところ、瘢痕形成し、その6ヶ月後に再度サンギナリア含有クリームを6週間塗布したところ、丘疹が肥大化、灼熱痛を呈し、悪性黒色腫と診断された。

(KC 日本でこのような製品は流通していないとは思いますが、こんなものも世界では使われているようです。サンギナリアは北アメリカ原産のケシ科の多年草で、その根茎が利用されているようです。「喘息によい」「リウマチによい」「痙攣を鎮める」「皮膚がんによい」などのうたい文句があるらしいです。)

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患者さんとの会話のための話題提供

LINK de DIETの記事より

   クルミを食べる者は2型糖尿病の罹患率が低い?!
 
クルミを食べる者は、食べない者と比し、2型糖尿病発症リスクが約半分であるようだ、というカリフォルニア大学ロサンゼルス校等からの報告。
米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用い、成人34,121(18-85)において、食事摂取量と糖尿病リスクとの関連性を調査した。糖尿病の評価は、自己申告、糖尿病薬の服用、空腹時血漿血糖値、ヘモグロビンA1c値により行なった。

結果は、くるみを食べなかった人と比し、クルミを食べた者は、年齢、性別、人種、教育歴、BMI、身体活動量に関わらず、2型糖尿病のリスクが低かったという。

クルミの平均摂取量は1日あたり約大さじ1.5杯であった。クルミの摂取が2倍になると(大さじ3杯の摂取)2型糖尿病のリスクが47%低下したという。このクルミの摂取量は、クルミの推奨量(1オンスまたは大さじ4)に近い。研究者らは、クルミの2倍以上の摂取増加が及ぼす影響については調査していない。

「今回の知見は、糖尿病リスクを減少させる食品ベースのガイダンスに対するエビデンスを提供する」とデイビッド・ゲフィン医師は述べている。

(KC 日本人で、毎日この量のクルミを食べている人は少ないと思われる。)




   倍増する、未成年のサプリ使用 
  
10年ほどの間に、未成年のサプリメント類(バーブ製剤や機能性食品等)の使用率が倍増したという。特に身体的変化の著しい13-18歳において、n-3系脂肪酸やメラトニンの使用が増えているとのことだ。一方で、臨床的勧告は、この種のサプリメントを未成年が使用することに対し否定的である。米国イリノイ大学の研究。
この研究は、米国全国健康・栄養調査のデータを2003-2004年期から2013-2014年期までの6期間に渡り、未成年のサプリメント類利用状況を分析したもの。その結果、未成年のサプリメント類使用が大幅に増えていることがわかった。

未成年が使うサプリメントの分類と、その使用率をみると、ビタミン無添加のハーブ製剤は、使用者の1/3が使っており、年次推移では高止まりの傾向がみられた。

研究者のクアト氏は、未成年のサプリメント使用の拡大に対する懸念を示している。「サプリメント類は、処方薬のようにFDA(米国食品医薬品局)の規制や承認手続きなどを受けることを要しません。その結果、とくに未成年に対する安全性や効果について、ほとんどわかっていないのです。多くのサプリメント類が特に心血管への副作用に関係し、安全上の懸念となっています

「私たちは、サプリメント類の持つ潜在的な有害性を上回るだけの利点が子どもたちにあるのかどうか、全くわかりません。そして本研究では、サプリメント類使用がこれだけ普及していること、それゆえ重要なのに、いまだにしばしば無視されている公共の健康問題であることを示唆しています」

サプリメント類の高度な普及に加え、思春期の者においては、その使用パターンは性別やその他健康状態によって様々であるようだ。

「思春期のこどもたちは、一般的な健康問題や、処方薬の副作用に対処するためにサプリメント類を使用しています。たとえば、睡眠に良いなどとして販売されているメラトニン・サプリの利用が増えています。しかし一方で、不眠症のリスク増加に関連する、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の薬の使用が増加しているという複数の研究報告があります。」

ほかに、10代女子において最も人気があるサプリメントはビタミンB群、そして葉酸だということもわかった。これらは、うつ病によいなどとして販売されているのだという。男子では、認知能力が高まるなどとして出回るn-3系脂肪酸や、ボディビル用サプリメントに人気があるという。

(KC これはアメリカの話ですが、日本でも、幼児から高校生のサプリメント使用が増えているのは感じています。)




先週の健康・健康食品関連情報(624日~630)

行政公表資料より


全国の特定健康診査・特定保健指導における食事指導と運動指導がメタボ因子の改善に効果がある可能性を示しました (国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)

6か月間の特定保健指導の積極的支援の一環として食事指導または運動指導を受けた集団で、BMI、腹囲、血圧等のメタボ因子の指標がわずかに改善した可能性を示しました。

(KC 国際栄養情報センター長の西先生の報告です。やっと、特定健診後の特定指導が、効果ありとしめされた画期的な報告です。)


大学・研究機関等公表資料より

ミルクプロテイン飲料摂取による知的作業効率の向上を確認(帯広畜産大学)

健康な男子学生 33 名に、朝食時に、ミルクプロテイン飲料または糖質飲料を摂取させ、その前後の計算課題の正答数を測定し、知的作業効率を評価した。
その結果、ミルクプロ テイン飲料摂取時は糖質飲料摂取時と比較して、知的作業効率が向上することが明らかとなった。


口の中の歯周病菌が大腸癌の発癌に関与(横浜市立大学)

大腸癌患者の唾液と大腸癌組織で細菌F. nucleatumの共通の菌株を発見。大腸癌組織のF. nucleatumが口腔内に由来することが示された。
口腔内・腸内環境からの新たな大腸癌の治療法、予防法などに繋がる発見と考えられる。


入浴習慣は動脈硬化や心機能に好影響をおよぼす(愛媛大学)

5回以上の 入浴習慣を有する者では、動脈硬化の指標である脈波伝搬速度や心負荷の指標である血中 B型心房性ナトリウム利尿ペプチドが低値を示しました。 入浴は、湯温による温熱効果とともに水圧による圧迫効果があります。水圧により末梢 血管内の血液が中心に集まり、これが心機能の改善につながることが知られています。


先週のトクホ・機能性表示食品情報(624日~630)

特定保健用食品の許可

今週は、許可の公表なし


機能性表示食品届出公表(624日~630)

届出番号
届出日
商品名
届出者
食品の区分
機能性関与成分名
表示しようとする機能性
D14
2018/5/1
つづける生姜黒酢
養命酒製造株式会社
その他加工
GABA
本品にはGABAが含まれています。GABAは血圧が高めの方に適した機能があることが報告されています。
D15
2018/5/7
難消化性デキストリン入り玄米茶R
株式会社東洋新薬
その他加工
難消化性デキストリン(食物繊維)
本品には、難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。難消化性デキストリン(食物繊維)には、お腹の調子を整える機能が報告されています。
D16
2018/5/8
イヌリン~中性脂肪が気になる方に~
株式会社日本予防医学研究所
その他加工
イヌリン
本品にはイヌリンが含まれています。イヌリンは血中中性脂肪を下げることが報告されています。

今週は、新規成分はありません。

機能性表示食品の届出一覧は、情報検索のデータベースで確認できます。
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/

平成30年4月1日 第1号発行

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